キャンプシュワブ・フェスティバル2015

USMC Camp Schwab (Okinawa) Festival 2015

昨日は年1回のキャンプ・シュワブ・フェスティバルを取材。シュワブとは、目下問題になっている沖縄県名護市辺野古にある海兵隊基地だ。普天間基地の移設先は、新聞で「辺野古新基地」と報道されることが多いが(翁長沖縄県知事まで「新基地」と言っている)、現行の辺野古基地を海上に拡張することによる移設である。

正面ゲート横に設営されていた移設反対運動のテント村は正面ゲートの対面に移動していた。ただし、23日は土曜日に付き宿直当番は不在。無人の静かなテントを見るのは久々。

フェスの日は一般への開放日である。多くの市民がフェスを楽しみにして来場するが、今年は険悪な雰囲気なので、「ひょっとしたら中止か」と思っていたが、「こういう時だからこそ地域との交流を怠ってはいけない」との判断から、リスクを承知でフェスは決行された。

とはいえ、例年なら身分証だけで後はフリーパスなのだが、ゲート前にテント村まで出来てしまった今年はさすがに厳しい検問。まず、ゲートで日本人セキュリティが、来場者の身分証と乗ってきた車の後部座席・トランク・下回りをチェック。次に、掌を差し出すように求められ、海兵隊員が片特殊なシート(薄手のプラスティック・シート)で拭いて爆発物を扱った痕跡がないか検査。アメリカの主要空港で始まったばかりの最新検査技術である。その後、フェスティバル会場入口まで海兵隊が用意したバスで移動。会場入口でバスを降りて日本人セキュリティによる手荷物検査と身体検査(金属探知機)を受ける。ここまでやってようやくイベント会場に入場を許可される。

兵器の展示は、水陸両用車AAV7とストライカー型軽装甲車。日系の海兵隊員が流暢な日本語で丁寧に説明していた。カリフォルニア出身で両親とも日本人という話だった。

アトラクションのうち、今年最大の目玉はTheory of A Deadmanというカナダのロックバンド。全米ナンバー・ワン・ヒットもある人気バンドで、オーソドクスなハードロックの輪郭を残しながらも、オルターナティヴの要素があちこちにちりばめられていた。「俺たちはポスト・グランジっていわれてるけど、けっこういろんな技があるんだぜ」的なことをのたもうていた。たしかにボーカルも含む各パートの力量は驚くほど安定して、アンサンブルもバッチリ。前半はエレクトリック、後半はアコースティックという構成も魅力的。久々にいい北米バンドを聴いたという満足感あり。なによりもPAがよく、野外とは思えな陰影の濃い音が会場に広がってたことが印象的だった。機材セッティングは、地元・沖縄のPA屋だが、バンドに同行してきた専任のエンジニアがミックスを担当。このミキサーの能力が高いのだろう。

シュワブステージ

 

日本人ゲストの多くは、PXでショッピングしていた。原則として一般の日本人は買い物が出来ないが、現場で軍人軍属に依頼して会計時に同行してもらうというやり方。当方には欲しいものがないので、その様子を眺めているだけだったが。

なお、入場時に「撮影はダメ」とはいわれなかったのでバシバシ撮影。他の方のFBを見ると、入場時に「撮影禁止」といわれた方もいたようだ。ただし、兵器の撮影時には、現場の担当兵士から、「内部は撮らないでね」と軽く注意あり。ちなみに一昨年のシュワブ・フェスには、基地反対運動に積極的に関与している目取真俊氏も参加。写真付きのたんたんとしたレポートが彼のWEBに掲載されている。目取真氏は兵器内部の写真も公開していた。

【補足】沖縄駐留の米海兵隊員がネパールでの救出活動中に遭難したが、その葬儀は、沖縄のキャンプ・フォスター内で執り行われたようだ。普通の飛行技術では対応できないような、ヒマラヤ特有の突風が吹き荒ぶシーズンでの事故だったようだ。沖縄の海兵隊は20才前後の若い兵士が主力。最悪の気象条件でも救出活動に出かけた彼らの勇気には敬服する。哀悼の意を表したい。

批評.COM  篠原章
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