4月2日土曜日午後3時より、「岩戸佐智夫さんを偲ぶ会」が東京キネマ倶楽部（鶯谷）で行われた。

岩戸佐智夫さん御遺影

岩戸佐智夫さん御遺影

故人を偲んで77名の方が集まってくださった。震災の影響も考慮して延期したら、という意見もあったが、4月中盤以降になれば大型連休進行で多忙になる出版人が多いことに加えて、厄災の克服には「日常の力」を取り戻すのがいちばん、という判断もあり、敢えて予定通り決行した。

それにしても77名（同伴のお子ちゃまを入れれば80名超）の方々には幹事の一人として感謝するばかり。今さらのように岩戸さんの交流関係の広さと深さがわかった気がした。

夏目房之介さんからのお別れスピーチ

夏目房之介さんのお別れのスピーチが白眉。岩戸さんへの惜別の想いを込めながらも、「おじさんの顔をしたご近所のお節介なおばさん」という岩戸評で一気に笑いの渦へ。

これで後の人がやりにくくなった。と思いきや、高知時代からの親友・泉清博さんのパワーポイントを使ったスピーチがまた素晴らしい。笑いと驚きの連続である。岩戸さんの「出世作」が週刊ポストに連載した「毛生え薬101」であると初めて知った。大ブームになった中国製の毛生え薬である。ブームの火付け役が岩戸さんとは…。本人が黙っていた理由はわからない。

高知時代からの親友・泉清博さんはPowerPointを使ったスピーチ

岩戸佐智夫さんを偲ぶ会から

岩戸佐智夫さんを偲ぶ会から

おもしろかったのは岩戸さんからの贈り物の話。鍋あり、モスラの模型あり、アロハあり、トマトあり、おでんあり…。関係者が思い思いに岩戸さんからの贈り物の話をしてくれた。これほどまでに贈り物が好きな人はいなかったのではないか、と思えるほど。あるときは女性を口説く材料だったのかもしれないし、あるときは美味しいものを共有したいという素朴な願いだったのかもしれないが、今となってはその動機も不明である。

洞口依子さん（女優）や當間早志さん（映画監督）のメッセージも心のこもった、やさしい言葉に満ちていた。

手前みそだが、実にいい集まりになったと思う。岩戸さんも不信心な男だったので、成仏するかどうかは知らないが、岩戸さんらしい、素敵にフレンドリーでフランクな集まりになったと思う。岩戸さんの深夜のお節介な電話がとても愛おしく、懐かしくなった。

ありがとう。岩戸さん。おやすみなさい。