沖縄県と国が共に暫定和解案受け入れへ!

本日3月4日、安倍首相が、代執行訴訟で福岡高裁那覇支部より示された暫定和解案を修正の上受け入れる、と発表しました。共同通信は、本日13時4分に次のようなニュースを配信しています。

安倍晋三首相は4日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐる代執行訴訟で、福岡高裁那覇支部が示した工事の中止を含む和解案を受け入れる方針を表明した。県側も既に前向きな姿勢を示しており、和解が成立した。国、県双方の対立が続けば、移設計画も危うくなるとして受け入れを決断した。今後は沖縄県との再協議が焦点となる。

首相は官邸で記者団に「辺野古移設が唯一の選択肢であるという国の考え方に変わりはない」としながら「国と沖縄県が訴訟合戦を繰り広げている関係が続けば、結果として(普天間飛行場が)固定化されかねない」と強調した。
http://this.kiji.is/78328420774610423?c=39546741839462401
(共同通信 47 NEWS)

これにともない、安倍首相は、中谷防衛大臣に辺野古埋め立て工事の停止も指示しました。

翁長知事は、ここ2〜3週間ほど、安慶田副知事をたびたび官邸に送り、内閣官房と和解案について協議をさせているという情報はつかんでいました。暫定和解案は、国と沖縄県のあいだで今後も協議を続けるという内容ですが、両者のあいだで「落としどころ」をめぐる妥協が成立したことは想像に難くありません。

目下のところ「落としどころ」について考えられる選択肢は、(1)辺野古移設プランを部分的に修正する(陸上案などに変更)、(2)辺野古移設は続行するが、使用期限を明確化する、(3)辺野古移設と引き換えに、これまでにない補償的事業を実施する、(4)参院選まで和解協議を続け、その後再び「決裂」して司法の判断に従う(翁長知事の顔を立てる一方で国が実利をとる方法)などですが、まだまだ情報不足ですので、今後の推移を見守りたいと思います。

壮大な茶番劇が「これにて一件落着」かどうかはまだわかりませんが、翁長知事の「オール沖縄」が動揺することは確実です。

【追記】
これまでの情報を総合すると、(参院選を目安に)協議を続け、協議が決裂した場合は、高裁の勧める違法確認訴訟(国による是正の指示をめぐる訴訟)を起こした上で、両者ともその判決に従うことが決定したと見てよいでしょう。司法の判断は国に有利な判決となるでしょうから、翁長知事側が事実上「敗北」したことになります。和解条項は以下の通りです。

1 当庁平成27年(行ケ)第3号事件原告(以下「原告」という。)は同事件を、同平成28年(行ケ)第1号事件原告(以下「被告」という。)は同事件をそれぞれ取り下げ、各事件の被告は同取下げに同意する。
2 利害関係人沖縄防衛局長(以下「利害関係人」という。)は、被告に対する行政不服審査法に基づく審査請求(平成27年10月13日付け沖防第4514号)及び執行停止申立て(同第4515号)を取り下げる。利害関係人は、埋立工事を直ちに中止する。
3 原告は被告に対し、本件の埋立承認取消に対する地方自治法245条の7所定の是正の指示をし、被告は、これに不服があれば指示があった日から1週間以内に同法250条の13第1項所定の国地方係争処理委員会への審査申出を行う。
4 原告と被告は、同委員会に対し、迅速な審理判断がされるよう上申するとともに、両者は、同委員会が迅速な審理判断を行えるよう全面的に協力する。
5 同委員会が是正の指示を違法でないと判断した場合に、被告に不服があれば、被告は、審査結果の通知があった日から1週間以内に同法251条の5第1項1号所定の是正の指示の取消訴訟を提起する。
6 同委員会が是正の指示が違法であると判断した場合に、その勧告に定められた期間内に原告が勧告に応じた措置を取らないときは、被告は、その期間が経過した日から1週間以内に同法251条の5第1項4号所定の是正の指示の取消訴訟を提起する。
7 原告と被告は、是正の指示の取消訴訟の受訴裁判所が迅速な審理判断を行えるよう全面的に協力する。
8 原告及び利害関係人と被告は、是正の指示の取消訴訟判決確定まで普天間飛行場の返還及び本件埋立事業に関する円満解決に向けた協議を行う。
9 原告及び利害関係人と被告は、是正の指示の取消訴訟判決確定後は、直ちに、同判決に従い、同主文及びそれを導く理由の趣旨に沿った手続を実施するとともに、その後も同趣旨に従って互いに協力して誠実に対応することを相互に確約する。
10 訴訟費用及び和解費用は各自の負担とする。

批評.COM  篠原章
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