国連から帰国直後の宜保安孝豊見城市議の記者会見(全文)~先住民族勧告の撤回

Yasutaka Gibo: "Are Okinawans an Indigenous People?"

国連機関から日本政府に対して、過去4回にわたって「琉球民族は先住民族であり、彼らの権利を尊重せよ」といった内容の勧告が出されています。この勧告は特定の国内NGOと一部の国会議員の要請に基づいてなされたもので、沖縄の一般県民あるいは沖縄県民を代表する機関から要請されたものではありません。こうした経緯を受けて豊見城市議会は、昨年12月、この勧告の撤回を求める決議を行い、今年の3月には、県民有志が「先住民族勧告の撤回を実現させる沖縄県民の会」を結成しています。
6月20日には、豊見城市議会ならびに「先住民族勧告の撤回を実現させる沖縄県民の会」を代表して、宜保安孝市議、同会の発起人・仲村覚氏、我那覇真子氏など7名がジュネーヴの国連人権理事会に出向き、勧告の撤回をあらためて要請しました。この記事は、ジュネーブからの帰国直後に、宜保市議が日本外国特派員協会(東京)で行った記者会見を全文書き起こしたものです。質疑の大半が英語で行われているため、一部に誤訳などあるかもしれませんが、その場合はご一報ください。
Yasutaka Gibo: “Are Okinawans an Indigenous People?”
Press Conference
Yasutaka Gibo
1:00:00(total)
Q&A session: starts at around 23 minutesJune 24, 2016
THE FOREIGN CORRESPONDENTS’ CLUB OF JAPAN
日本外国特派員協会
司会 Michael PENN(マイケル・ペン 新月通信社)

 

 

報告会見

はじめに

宜保安孝 豊見城市議会議員
みなさんこんにちは。沖縄県豊見城市議会議員の宜保安孝と申します。本日はこのような機会を頂き、誠にありがとうございます。

昨日、ジュネーブより帰ってきました。沖縄県民は47都道府県のひとつ、日本国民であるということを国連にて訴えさせて頂きました。例えば、鹿児島県人や大阪人、東京の方が、わざわざ国連まで行ってそういったことをする必要があるでしょうか。私がジュネーブまで行って、沖縄県人は日本人であるという事を訴えないといけない、この異常な事態を、今沖縄県では小さな問題、なかなか知られていない問題でしたが、少しずつ知れ渡って来るようになっています。

では、始めさせて頂きます。

沖縄県は多くの政治問題を抱えています。特に米軍基地の問題は、いつも新聞の紙面をにぎわせています。
しかし本日のトピックは、これまでと全く違った新しいものです。しかもこの問題は沖縄に住む私たちにとって、政治というレベルをはるかに超えており、これからその実態が明らかになるにつれ、私たちの存在そのもの、アイデンティティそのものが問われる大きな問題になってくることは確実です。その問題とは、国連による「琉球、沖縄の人々は、日本人に侵略された先住民族であり、文化や権利を保護しなければならない」という勧告が出されているという問題です。この問題は、政治的イデオロギーを超えており、党派を超え日本国民一丸となって取り組むべき問題だと考えています。よって本日は、特定の政党や会派の代表ではなく、全ての沖縄県民の代表として、全国の日本国民同胞、そして全世界の人々に対して発言させて頂きます。

国連先住民族勧告とは

まず国連先住民族勧告について説明いたします。
スライドをご覧ください。

Recommendation form CCPR
CCPR/C/JPN/CO/5
30 October 2008
The Ainu and Ryukyu/Okinawa as indigenous peoples in domestic legislation, adopt special measures to protect, preserve and promote their cultural heritage and traditional way of life, and recognize their land rights. It should also provide adequate opportunities for Ainu and Ryukyu/Okinawa children to receive instruction in or of their language and about their culture, and include education on Ainu and Ryukyu/Okinawa culture and history in the regular curriculum.
CCPR/C/JPN/CO/6
20 August 2014
The State party should take further steps to revise its legislation and fully guarantee the rights of Ainu, Ryukyu and Okinawa communities to their traditional land and natural resources, ensuring respect for their right to engage in free, prior and informed participation in policies that affect them and facilitating, to the extent possible, education for their children in their own language.
Recommendation form CERD
CERD/C/JPN/CO/3-6
6 April 2010
It further reiterates the analysis of the Special Rapporteur on contemporary forms of racism that the disproportionate concentration of military bases on Okinawa has a negative impact on residents’ enjoyment of economic, social and cultural rights (arts. 2 and 5).
CERD/C/JPN/CO/7-9
26 September 2014
The Committee is concerned that sufficient measures have not been taken to consult Ryukyu representatives regarding the protection of their rights. The Committee is also concerned by information that not enough has been done to promote and protect the Ryukyuan languages, which are at risk of disappearance, and that education textbooks do not adequately reflect the history and culture of the Ryukyu people (art.5).

2008年から過去4回、同様の趣旨の勧告が出されています。2008年10月と、2014年8月には自由権規約委員会から、2010年4月と2014年9月には人差別撤廃委員会から勧告が出されています。合計4回です。

2008年の「国内法によって琉球沖縄の人々を先住民族として認め、彼らの文化遺産及び伝統的生活様式を保護し、保存し、促進し、彼らの土地の権利を認めるべき、通常の教育課程に琉球の人々の文化や歴史を含めるべきだ」とあります。

先住民族勧告を撤回させなければならない理由三点

これらの先住民族勧告を撤回させなければならない主な理由を三点述べます。

Why should the Recommendation be retracted?
  1. We, the people who have lived Okinawa for many generations since long past, are Japanese and do not recognize ourselves as indigenous people in Japan?
  2. The process till the UN Recommendation was issued is not transparent, No official discussions were held about indigenous people publicly in the past.
  3. The UN Recommendation limits the sovereignty of the Japanese government over Okinawa and East China Sea and may lead Okinawa to a cause of conflict in the region.

まず一点目は、先祖代々沖縄に住む私たちは日本人であり、先住民族としての自己認識は持っていないということです。この勧告は大きな根本的な誤解であり、受け入れるわけにはいかないというのが、すべての沖縄県民の感想です。沖縄は、第二次大戦後27年間米軍の統治下にありましたが、わずか27年で祖国への復帰が実現されたのは、私たちの両親や祖父母が日本人としての強い自覚と誇りを持っており、日本への復帰を願って、血の汗を流すような努力を続けたからこそ実現したわけです。もし、日本に侵略された先住民だったら復帰を願うことはなく、独立を望んでいたはずです。

次に二点目です。
それは、国連勧告が出されるまでのプロセスが不透明だという事です。沖縄では過去、公の場で「沖縄県民が先住民族かどうか」ということについて議論されたことも、先住民として認めるべきとの意見書が可決されたこともありません。それにもかかわらず、突然、国連からの勧告が提出されたことは寝耳に水であります。是非、マスコミの皆さまは、誰がどのように動いて、沖縄県民の知らないところで先住民勧告が出されることになったのか、真犯人探しとその報道をお願いします。

最後に三点目です。
沖縄及び東シナ海は、日米同盟により軍事的安定を維持して来ました。しかしこの勧告は、そのエリアにおける日本政府の主権を限定的にするものであり、米軍の駐留や作戦行動に大きな影響を与える可能性があり、沖縄を紛争の発信源にしてしまいかねません。以上、これら三点が国連先住民族勧告を撤回しなければならない理由です。

国連先住民族勧告撤回運動の概要

続きまして、国連先住民族勧告撤回運動の概要です。私たちが現在行っているみっつの国連先住民族勧告撤回運動の概要をお話しいたします。昨年2015年12月20日に、私が属する沖縄県豊見城市の市議会では、先住民族勧告の撤回を求める意見書と決議文を可決いたしました。続いて今年2016年3月20日には、豊見城市内で「先住民族勧告の撤回を実現させる沖縄県民の会」の設立決起大会を開催し、勧告撤回の意見書を沖縄県内残りの40市町村で決議する運動を開始しました。つい先日でありますが、6月の議会では現在石垣市が採択され、今後も増えていく見通しです。

次に「国連先住民族勧告の撤回を実現させる沖縄県民の会」は、この度、7名からなる先住民族勧告撤回要求国連派遣団を編成し、6月20日と21日にジュネーブの国連人権理事会に参加し、先住民族勧告の撤回を要求して参りました。20日の人権理事会では、私が代表して2分間の勧告撤回要求スピーチを行い、21日には施設内の会議場を借りて、1時間のシンポジウムを開催し、勧告を撤回しないといけない理由を説明いたしました。その結果、他国から来たNGOの皆さまにも大きな関心をお持ち頂き、初めて聞いたという方や、解決のためのアドバイスを下さる方が多数いらっしゃいました。

今回の派遣団の活動は小さな一歩ですが、沖縄県民自らジュネーブにて国連の誤解を解く発信を行うことが出来たことは、大きな成果だと認識しております。すぐに結果が出るわけではないので、さまざまな方法で粘り強く勧告撤回運動を続けていく予定です。

最後にこの場を借りて、全国の日本国民同胞へのお願いがあります。全国の県議会、市町村議会でも国連先住民族勧告の撤回要求の意見書の決議を、どんどん進めて頂きたくお願いする次第です。

沖縄県民を先住民族とする国連勧告は、沖縄県民だけの問題ではありません。なぜなら、この勧告は沖縄県民が議論し要求して出されたものではなく、沖縄県外からの働きかけによって成されたことが明らかになっているからです。その目的は、沖縄の日本からの分断、すなわち日本民族の分断解体です。

沖縄は日本であり、沖縄県民は日本人です。そして日本民族は、運命を共にする共同体であります。沖縄の繁栄は日本の繁栄であり、日本の繁栄は沖縄の繁栄です。今後も日本国民一丸となって繁栄していくために、心よりご協力をお願いいたします。

どうもありがとうございました。

 

質疑応答

司会マイケル・ペン
これから質疑応答に入ります。司会が指名したら、前方のマイクのところへ来て、お名前と所属をおっしゃってから、質問をお願いいたします。まずは会員の特派員の方から質問をどうぞ。動画を撮っていますので、必ず前にあるマイクを使って下さい。

質問者1
国連決議の裏には誰の働きかけがあったのでしょうか。決議の中に働きかけるものが外からあったという事ですが、出来ればその詳細を教えて下さい。

宜保安孝 豊見城市議会議員
この文案の中にもありましたけれども、是非ともみなさんの方で本当は調べてほしいというのがぼくの思いであります。しかしながら、意見書を可決する際にも公表はしておりますので、説明させて頂きます。この勧告の働きかけを行ったのは沖縄県民ではありません。ある特定の団体、沖縄県外の団体がそれを行ったということです。

司会
それは日本国内の団体でしょうか、それとも国外の団体でしょうか?

宜保安孝 豊見城市議会議員
国内の団体です。

質問者1(再)
先ほどの質問に関して、具体的な情報、つまり団体の詳細について教えてください。

宜保安孝 豊見城市議会議員
はい、ではしっかりメモして下さい(笑)
「市民外交センター」
「反差別国際運動」
これらの団体であります。

質問者2
沖縄県民は日本語とはまた異なった言語を使っていると思います。よく似ているものは標準語の中にもあるとは思いますが。また宗教的観点から、日本には神道というものがありますが、これも沖縄では少し違うのではないか、その流れを教えてください。また王国であったという歴史もあり、琉球王国という日本と中国の間に位置する独立した王国であったという話もあります。そのような観点から、沖縄は日本と変わらないという根本的な理由を教えてください。

宜保安孝 豊見城市議会議員
まず言語についてでありますが、沖縄にも沖縄のことばがありますし、例えば鹿児島にも鹿児島のことば、九州のことば、関西のことば、いろいろ各地域によって方言があります。この沖縄の方言も、昔の日本語の流れを汲んで来て作られたものです。例えばですが、「とんぼ」のことを古い言葉で「アケズ」と言ったりします。沖縄では「アケジュ」と言います。ちょっとした例ではございますけれども、独自の文化としてではありますが、日本の古い言葉が残ってきた現状が今の沖縄の言語を形成していると思います。

神道の流れについてですが、沖縄にも多くの神社等があります。その中には天照大神などを祀った神社もあります。これはある期間、琉球王国が形成された時代、その時代から祀られていたものです。そして琉球王国についてですが、琉球という国、そして例えば薩摩という国、いろんな「くに」が、日本国というきれいな形が形成される前はいろいろな組織がありました。

そして、DNAの鑑定をしても、琉球王国独特のDNAが出るわけではなく、日本国、日本民族共通したDNAを持つことが明らかになっております。そのDNAは、最果ての与那国島、波照間島においても、近くの台湾や中国とかのDNAとはまったく違います。DNA染色体は、日本民族としてのDNAとほぼ一緒です。よって我々沖縄県民は、日本人であると思っております。

質問者2(再)
特有の言語ではなく方言ということですが、例えば、鹿児島弁や大阪弁のような方言ではなく、沖縄のことばは一言語であると、言語学者から聞いたことがあります。日本と沖縄で似た単語があるということですが、例えばヨーロッパでは違う言語でも、よく似た単語がたくさんあります。いくつかの単語が似ているということが、同じ言語か否かの証明になるかということについて、何かコメントをお願いします。

宜保安孝 豊見城市議会議員
ことばについて、先ほどヨーロッパでも似たような言葉があるということをおっしゃいましたが、日本語というのは例えば中国語や韓国語とはまったく別の「日本語」なんですね。その日本の中においての沖縄のことばというのは、それは先ほど仰っていたヨーロッパ中で色々な言語があって似ているというものは、一緒ではないと思います。

司会
今から会員以外のすべての特派員の方からの質問を受け付けます。

質問者3
国連の勧告の中で、沖縄の人とアイヌの人を一緒にするという事の中でお伺いいたします。沖縄とアイヌの人たちが、一緒に勧告撤回へ向けて行動することはあるのでしょうか。またアイヌの人たちの中で勧告を撤回してもらうための動きがあるかについてもお願いします。

宜保安孝 豊見城市議会議員
まず、アイヌの方々から撤回の要求があるかについては、ぼくは存じ上げておりません。今回は我々が住む沖縄のことについて、訴えに行ってまいりました。

司会
アイヌの方で撤回を求めるべきと思いますでしょうか?

宜保安孝 豊見城市議会議員
それはアイヌの方が考えるべき問題だと思います。

司会
では、司会としての特権を行使して、私のほうから質問させて頂きます。
私はアメリカ人ですが、アメリカ国内ではたいへん多くのアイデンティティがあります。アイルランド系、アフリカ系、といったよう何らかの民族系アイデンティティを有した人びとが集まっています。一方で、国家あるいはアメリカ市民への忠誠という理念は共有しています。

これに対して、日本は基本的に単一民族で構成されているといわれます。あなたのおっしゃったように、「日本民族」が(国家への)忠誠心の土台となっています。そこで、「日本民族イコール日本人」といった国民の概念が、この21世紀にマッチしているのかどうかという疑問が生まれます。つまり、日本民族ではないけれど日本の市民であるという人も実際に存在するわけですね。こうした時代に、民族性と文化について、独自性(アイデンティティ)を有する沖縄の人びとが同時に日本国民であるという両面性(競合性)についてどうお考えかご教示下さい。

宜保安孝 豊見城市議会議員
先ほど、日本民族と言いましたけれども、ぼくの中では大和民族という思いの中で、ただ日本国内においては色んなアイデンティティを持たれた方も住まれているのも事実だと思います。国籍を変えて、結婚するのがきっかけであったりとか、もともと住まれている地域よりも日本の方が良いと思って来られた方、また日本国内においても色んな考え方がある中で、そういったアイデンティティというのは、ぼくは大事にするべきだと思っております。

今回私が訴えたいこと、そしてジュネーブにおいて訴えたことは、我々沖縄県民が望んで「先住民族であることを認めてくれ」と言ったからそうなったわけではなくて、沖縄県民以外の一部の方々の運動の中でそういった要請が、働きかけがあって、それを国連の方々が勘違いをされたんじゃないかな、と。その勘違いを正すために今回行って来たということであります。よって、ぼくは、それぞれの方々のアイデンティティに関しては大事にするべきだと思っております。

司会
司会の方からもうひとつ質問したいと思います。
沖縄地元の琉球新報、沖縄タイムスは、あなたがたのジュネーブでのアピールにあまり共感していないのではないかと思いますが、沖縄県民一般の方々の世論調査は行われていますでしょうか。つまり、県民一般のこの問題に対するスタンスですね。

宜保安孝 豊見城市議会議員
まず、この問題が出てきたのも、我々豊見城市議会で決議しましたけれども、その決議の中においては沖縄のメディアの琉球新報さん沖縄タイムスさんも取材に来ておられました。さまざま各議員が、それぞれ賛成討論、反対討論という形でぶつけました。もちろん反対する方もいましたけれども、反対の議論として「私は先住民族だと思っているから反対する」という人はひとりもいませんでした。

そして、日本人の帰属の問題ではなくて、政治の問題に合わせて与党野党の中で、我々与党が提案することに対しては乗れない、という反対の趣旨でありました。結果的に賛成が多く集まり可決されましたが、翌日の新聞にはまったく掲載されませんでした。なぜでしょうか。

それからしばらくしまして、我々のこの意見書に異議を唱える方々が、琉球独立を目指す方々が少数いますけれども、その方々からの反論を新聞に掲載するという形で、琉球新報さんが取り上げてくれました。それを読まれた我々の仲間からも、それを見て「こんなことが議会で行われていたのか」という驚きの意見があって、報道されたことに関してはとても感謝しております。

昔から沖縄には「居酒屋独立論」というのがあり、お酒を飲みながらの話の中で「独立したらどうなるかなぁ」と夢物語を語ったりとか、憤慨するような気持ちが出るようなときには「もう沖縄は独立した方がいいんじゃないか」とか、声を上げる方はいましたけれども、それは多くの意見ではないです。

ある大学のアンケートの中に「あなたは日本人か、沖縄人か、それとも沖縄人であり日本人であるか」と言ったアンケートがあったのは記憶しております。愛郷心が強い地域でありますので、本人が日本人かどうかという問題よりも、「うちなーんちゅーであり日本人である」という意見も多くありました。

ひとつ、特別な例といたしまして、沖縄の高校野球の話をしたいと思います。島国沖縄県から甲子園に出るために、高校野球の優勝目指して頑張って沖縄県民代表になることは、県民の誇り、もちろん本人たちも誇りでありますし、家族親戚、またその地域の誇りになります。もちろん海外の大会に行くわけではなくて、日本国の47都道府県のひとつの代表として行きます。試合当日は、みんなでテレビの前にかじりつき、車の量も少なくなり、閑散とした風景が沖縄で見られます。それぐらい沖縄の方は自分の地域を愛し、沖縄の県民は強い団結がありますけれども、逆にそう言ったことを利用されるときがあるのかなと感じるときがあります。「沖縄県民だからこうしなければならない」ということで言うと、「オール沖縄」という言葉があります。しかし政治的な問題での「オール沖縄」は存在しないものと思っております。我々沖縄県民が日本人であるということに対する意識はオール沖縄に近いのではないかなと思います。以上です。

質問者4
日本政府についてですが、日本政府が国連勧告に賛成しているのでしょうか、日本政府の立場についてご存知でしたら教えてください。

宜保安孝 豊見城市議会議員
先日我々がジュネーブに行ったあと、菅官房長官がはっきりと勧告を否定しておりました。そして、本日外務省の方に要請行動も行って参りました。政府としての意見は、「沖縄県民は日本人であり先住民族でない」という認識はいっしょでありました。以上です。

質問者5
フリーランスのオオバヤシと申します。

私は今回のケースは沖縄独立運動にまた利用されるというか、当然そちらの方の勢力が非常にこれを利用しようというように動くと思っていたのですが、今お話を伺っていますと、それは全くあり得ないということのようですが、独立運動の方から今回のことでどのような働きかけがあったのか、まったくなかったのか、をお願いします。

それからまた別の話なんですが、先ほど地元二紙のお話が出ましたけれども、地元二紙はこの問題に関わる、独立運動とかそういったものに関わる報道姿勢を、宜保さんはこれをどうご覧になっているかをお伺いしたいのですが。

宜保安孝 豊見城市議会議員
独立運動に関しては、独立したいと思う人がいるのかな、と。
独立したい人にとっては、これを採択された方がいいのかどうなのかということに関しては、ぼくからはちょっと何とも言いづらいんですが。ただこれを認めることによってですね、規約委員会の中にあるように例えば「彼らの文化遺産及び伝統的生活様式を保護し、保存し、促進し、彼らの土地の権利を認めるべきだ」という流れが今後独立運動に利用されないかという危惧しております。今、沖縄においては尖閣諸島の問題もありますけれども、もし日本政府が「じゃ沖縄はそういったことでやるんであれば」ということになると、島周辺の活動はどうするという話になったときに、この小さい、小さいと言ったらおかしいですけれども、沖縄県のその時の政治状況にあわせて、他国と一緒に共同開発をしようとか、もしそういったような流れになってくるようであれば、これはよろしくないのかなと思っております。

それと、二つの新聞の報道姿勢について。
この件に関しては、他の件に関してはぼくの思いを述べるのは控えさせて頂きますけれども、ただ長年ふたつの新聞しかないような状況が続いておりますので、できればあとひとつふたつあれば、さまざまな意見が出て、すごく良い環境が出来るのかなと期待しておりますし、多くの県民がそれを望んでいると思っております。

司会
他に質問がございましたら、みなさんどうぞ。

質問者6
フリーランスの石川と申します。
先程から伺っておりますと、何か奥歯にものが挟まったような言い方をされてらっしゃるのですが、もう少し直接明解に言って頂けるとわかりやすいんですけれども。この運動主体というのは、要するに先程の沖縄二紙に見られるような沖縄の勢力の方のゆさぶり運動とは違うのでしょうか。

宜保安孝 豊見城市議会議員
それはまったくありません。先ほどの質問の中にありましたようなものは、我々の議会の中で賛成討論反対討論の中においても、「そういったことでやっているんじゃないか」という方々もおりましたけれども、我々は純粋に、国連から、知らないところで出された勧告に対して、「これはおかしい」と声をあげて、それを元に今県内の有志が集まってそれを撤回しようという運動を今開始しているところであります。

司会
それでは最後に、会場に来られている今回ジュネーブに行かれた代表団に行かれたみなさま、どうぞご起立をお願いいたします。

(代表団メンバーへ会場から拍手)

司会
本日はみなさま、大変ありがとうございました。

 

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批評.COM  篠原章
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