最悪だったNHK「ニュースウオッチ9 」の「復帰の日」特集

5月15日は沖縄の本土への「復帰の日」でした。例年、この日のニュースはどれも疑問符が付くものばかりなのですが、今年はNHK「ニュースウオッチ9 」が最悪でした。

「基地返還で沖縄経済は豊かになる」というテーマ設定からして大問題です。視聴者に「基地を返還すれば沖縄は豊かになるはずなのに、政府と米軍が基地を返還しないから、沖縄は困っている」という印象を抱かせるような構成になっていました。はっきりいってこれは虚偽報道に近いと思います。

具体的には次の4点を指摘しておきたいと思います。

(1)基地返還が進まないのは「なぜか」にまったく触れていない。反対運動と県内外の利権調整のために、すでに決まっている基地返還が進まない、というのが実情である
(2)「返還されれば豊かになる」可能性が高い基地は、浦添のキャンプキンザーまでで、普天間飛行場返還に伴う再開発が「沖縄を豊かにする」かどうかはまったく未知数だが(再開発計画も事実上存在しない)、その点にはまったく触れない
(3)昨年返還された西普天間地区の再開発計画は、補助金がなければ継続できない状態に陥っているのに、その点にはまったく触れない
(4)観光客数の増加を強調するだけで、インフラ整備の遅れやリゾートホテルなどの乱立による海域の汚染についてはまったく触れない

番組のこうした構成と内容は、NHKの報道機関としての「良心」を疑わせるような代物でした。

批評.COM  篠原章
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