遠藤賢司『不滅の純音楽』が発売されました

昨年10月25日に亡くなられた遠藤賢司さんを偲んだ追悼本『遠藤賢司 不滅の純音楽』(ミュージック・マガジン増刊)が1月19日に発売された。本書には、鈴木茂、松本隆、鈴木慶一、湯川トーベン、石塚俊明、パンタ、遠藤ミチロウ、曽我部恵一、山口隆、近田春夫、宮藤官九郎、春風亭昇太さんなどの追悼インタビュー、細野晴臣、小倉エージ、北中正和、湯浅学さんなどの特別寄稿文が収録されているほか、『ミュージック・マガジン』『レコード・コレクターズ』にこれまで掲載されたエンケン・インタビューやエンケン作品レビューなどが再録されている(未発表の佐野史郎さんとの対談あり)。そのなかには篠原のレビューとインタビューも含まれている。

中学生の頃からエンケンさんには憧れていた。最初の三枚のアルバムはすべてコピーした記憶がある。変則チューニングのギター奏法、最後までわからずじまいだった。

1970年代半ば、高校生だったぼくは渋谷の南平台というところに住んでいた。家から渋谷駅までの道のりの途中に米屋があったが、その米屋の裏の木造二階建て「南平台アパート」がエンケンさんの住まいで、月に一度ぐらいはエンケンさんの姿を見かけた。当時エンケンさんが渋谷で経営していたお店「ワルツ」のピラミッドカレーもぼくの大好物だったので、お店でもエンケンさんを何度も見かけた。

南平台でも、ワルツでも、ぼくはエンケンさんをしょっちゅう見かけていたことになるが、エンケンさんは当時のぼくのアイドルだったので、緊張のあまりろくに口もきけなかった記憶がある。

長じて音楽の原稿を書くようになってから、エンケンさんを何度か取材させていただいた。本書に収録されたぼくのエンケン・インタビューを読み直すと、若い頃の「緊張」がそのまま文章に現れていて、それこそ穴があったら入りたい気分になる。

でも、それもいまや追憶の1頁になってしまった。

ああ、残念でならない。
 


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批評.COM  篠原章
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