「那覇市水道局駐車場疑惑」—違約金放棄案の市議会における賛否一覧表

6月27日に既報の「那覇市上下水道局駐車場疑惑」で、疑惑のおおもととなっている「違約金放棄案」について、28日、那覇市議会で議決が行われた。那覇市おもろまちにある上下水道局駐車場の賃貸契約の解除に伴い、業者(大和ハウスパーキング)に対して違約金を請求するか否かを問う議決である。

「放棄案賛成」は、規程に書かれていない優遇措置を当該企業に与えてもよい、という立場であり、「反対」は、そうした優遇措置を与えるべきではない、という立場だと考えてくれればいい。賛成したのは、城間幹子市長の与党である日本共産党、会派ニライなど14名、反対したのは、自民党、公明党、なは立志会、会派市民の心、無所属の会の22名だ。放棄案は否決されたことになる。

那覇市議会 令和3年6月定例会「権利の放棄について」 採決結果

那覇市議会 令和3年6月定例会「権利の放棄について」 採決結果

「駐車場貸付をめぐる疑惑など取るに足らぬ」という意見もあるかと思うが、これは氷山の一角に過ぎないと考えている。「自民党側が首長でも同じような問題が起こっているはずだ」という意見も出てくると思うが、同じような問題が起こるに違いないから取り上げる価値はない、という話にはならないだろう。今のうちに病巣を抉り出しておけば、市政・行政は前を向いて進むようになる。

はっきりいって、これは翁長雄志市長時代の負の遺産である。翁長氏の時代遅れの政治手法が「オール沖縄」にそっくりそのまま継承されているのが実情だ。本来なら共産党が真っ先に反対すべき案件だが、共産党はオール沖縄の看板欲しさに、古い政治手法に流され、それに加担している。本当に民主的な政党ならそんなことはしないはずだ。

市政・県政で怪しげなお金の動きがあったとすれば、その一部は政治家の懐に入り、選挙資金などに費やされる。「選挙にお金がかかるのが諸悪の根源だ」と理念を述べるのは容易だが、それはたんなる言い訳だ。「選挙にはお金が必要だ。お金がなければ闘えない」という現状を変えるには、透明で公平な行政の実現に努めることがいちばんである。市議会はそのためのエンジンである。

7月11日には那覇市議選がある。こういう時こそ有権者・市民の良識や常識が試される。

 

批評.COM  篠原章
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