新刊『報道されない沖縄基地問題の真実』が出版されました

宝島社から新刊『報道されない沖縄基地問題の真実』が出版されました(別冊宝島2435/2月20日発売)。
内容的には、昨年1月に刊行され、今も好評の『沖縄の不都合な真実』がベースですが、図版・写真などを多数そなえたたいへんわかりやすい本です。宝島社のサイトで目次と内容の一部を確認することができます。

本書の原点は1996年にあります。以下、最終章の一文を貼りつけておきます。

1995年に米兵による少女の暴行事件が発生し、1996年に普天間基地の返還が決まりました。普天間基地の返還は、良くも悪くも沖縄にとってショックをもたらしました。沖縄の人たちは皆喜んでいると思っていたのですが、皆の話を聞いてみると、それは大間違いでした。
基地反対運動のある活動家は、「基地が返ってこないことを前提にした反対運動だったから、正直ショックなわけさー」とこぼしていました。今も政界に片足を突っこんでいる当時の首長の一人は、「基地が返ってきたら、財政は破綻する。自治体も基地地主だから、収入の一部が途絶えるのに、基地の跡地整備には多額のカネがかかる」と悲痛な表情をしていました。
「基地は返ってこないほうがいい」という人がいるとは、まったく思いもよらなかったので、腰を抜かすほどびっくりしました。同行取材していた、大手A新聞の記者を務める友人に、「普天間基地は返ってこないほうが沖縄のためになるんじゃないか」と話しかけると、彼は「今まで1ミリも動かなかったものが動くんだから、やっぱり画期的だよ。このチャンスを手放すようではダメだよ」ときっぱりいいました。筆者はその言葉に大きく心を動かされ、それ以来、普天間返還を素直に喜ぶようにしました。
本書でもすでに触れましたが、その後の経緯は呆れるような出来事ばかりでした。結局、あれから20年もの歳月が流れたのに、まだ普天間基地は同じ場所にあります。今も1ミリも動いていません。「日本政府が悪い」と思う場面もありましたが、これだけ長い期間まったく動かなかったのですから、一方だけが「悪い」ということはありえません。沖縄の側にその責任がないわけがありません。けれども、そのことを指摘する人は誰もいませんでした。

(篠原章監修『報道されない沖縄基地問題の真実』の最終章から)

報道されない沖縄基地問題の真実

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批評.COM  篠原章
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