「原発廃止論」が生成AIの発展を阻害する?— AI後進国化する日本

天才バカボンとウルトラマンの花見

画像生成AI(マイクロソフトのCOPILOT)を使って「天才バカボンとウルトラマンの花見」を描かせてみた。

とりあえずウルトラマンはそれらしく描けているが、「天才バカボン」にはほぼ無知らしく、実写的な子どもの姿だったり、バカボンとは似ても似つかない、やたらとキュートな姿に描かれている。花見なのに、酒と肴がほぼないのも残念。桜についてはオキマリのフォーマットがあるらしく、「いかにも!」といった印象がある。半年もすれば(バカボンのことをもっと教え込めば)、より的確な絵が描けるとは思うが、現状ではこんなものか。それにしてもバカボン・キャラがあまりに可愛らしいので胸がキュンとなった。これ使えるかも(笑)

生成AIの展開と電力需要の急増

実は問題はもっと別の所にある。生成AIは、瞬時にこの4枚の画像を作成してくれたが(ご丁寧にも、バカボンとウルトラマンを説明する長々としたテキストまでついてくる。テキストはなかなか的確)、この絵を描くためにサーバーが消費する電力はアメリカ産で、米国内で発電されたものだ(アイルランド産という説もある)。

近年、アメリカではデータセンター(DC/サーバーが集中的に置かれた場所)の電力消費が急増している。半導体の節電技術が頭打ちとなるなかでDCの電力消費は増える一方ということだ。中国、ロシアなどはDCによる電力消費の増加も踏まえて原発建設(計画中のものも含む)ラッシュを迎えているという。

日本でも、GoogleなどアメリカのIT企業を中心としたDC建設投資が今後4兆円に達すると見込まれるが、DCが稼働し始めるとこれまで落ちこんできた電力需要も急増すると予想される。

足枷となっている「原発廃止論」

現行の第6次エネルギー基本計画では、2050年カーボンニュートラルを目指して、エネルギー消費全体に占める電力生産量について、現行22%程度(シェア)の再生可能エネルギーを38%程度まで、現行5%程度の原子力を22%程度まで引き上げることが予定されているが、計画が策定された令和3年の段階では、大飯ぐらいのDCの設置による電力消費の増大はあまり想定されていなかった。化石燃料の使用を大幅に削減するためには、再生可能エネルギーの増産と共に、原発再稼働が必要となり、それ抜きでは、日本は「デジタル後進国」(つまりは経済的にも後進国)になってしまう。

福島原発事故の教訓を生かしつつ、カーボンニュートラルを実現し、生成AIの時代に対応するために、原発再稼働・安全な原発への置き換えが今後日本に求められる最大の課題のひとつである。このことは、国民全体で共有すべき認識だが、各国がしのぎを削って電源構成上の重心を原発に移しつつあるなかで、国際市場でのウラン価格も高騰しつつある。

日本のエネルギー政策の舵取りは、目下きわめて難しい局面に立たされている。国民のなかに根強い「反原発感情」(原発廃止論)といかに向き合うか。それがいっそう大きな課題として膨らみつつある。

批評.COM  篠原章
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