ハイドパークミュージックフェスティバル

3〜4日の二日間、狭山のハイドパークこと稲荷山公園で行われた「ハイドパークミュージックフェスティバル」を見てきました。細野晴臣『HOSONO HOUSE』(73年)のライナーノーツにも書いたのですが、70年代初めまで米軍基地の街だった狭山には、通称・アメリカ村という払い下げ米軍ハウス群があり、細野晴臣、小坂忠、吉田美奈子、駒沢裕城、センチメンタル・シティ・ロマンス、麻田浩などのミュージシャンやデザイナー集団・ワークショップMU!などのアーティストが住み着いて、疑似「アメリカンライフスタイル」を満喫していました。当時のポップカルチャの一部は、狭山、六本木、福生といった基地の街から発信されていたのです。

このアメリカ村と関係の深いミュージシャンを集めて開催されたのが今回のフェスティバルで、今でも狭山に住むジャパニーズ・フォークのパイオニア、麻田浩さんが言い出しっぺでした。

初日は、森山良子、ブレッド&バター、センチメンタル・シティ・ロマンス、鈴木茂、マーク・ベノ、高野寛&佐橋佳幸、小坂忠&駒沢裕城など(出演順)、二日目は、SAKEROCK、中川五郎、鈴木慶一+鈴木博文+武川雅寛、洪栄龍、エリック・アンダースン、佐野元春&ザ・ホーボー・キング・バンド、細野晴臣(出演順)などの出演でした。

さて魯山人・シノハラ。たしかに両日とも参加はしたのですが、初日はセンチメンタル・シティ・ロマンスから、二日目はエリック・アンダースンからという聴き方。

いちばん印象的だったのはやはり細野さん、茂さん、忠さん。とくに細野・鈴木ご両人の70年代レパートリーは、これで聴き納めというつもりで感慨深く拝聴。正直、目頭熱々でございました。茂さんの「花いちもんめ」、細野さんの「夏なんです」というはっぴいえんどナンバーなんて、ほんとうにもう二度と聞けないでしょうね。

細野さんの場合、「ろっかばいまいべいびい」「終わりの季節」「POMPOM蒸気」「夏なんです」「恋は桃色」に比較的新しい曲も混ぜたセット。ニッポンのポップ界で、天才と呼べるのはこの人だけだなぁとあらためて実感しました。

佐野さんも印象的でした。現代ニッポンの頂点にある佐橋君とKYONのホーボー・キング・バンドがバックですから、そのせいもあるのでしょうが、「あぁこの人は本気でロックの人なんだなあ」と感動しましたよ。今まで佐野元春のライブは何度も聴いたけど、今回がベストでしたね。

二日目夕は記録的な豪雨にたたられましたが、どういうわけか佐野さんと細野さんのステージの時間帯にはすっかり雨も上がり、細野さんのときには、わずかですが夜空に星が瞬いているほどでした。あり得ないことですよね。関東地方がほとんど豪雨だったあの時間に、なんと星が瞬いていたのですよ。

主催者の方々は来年も継続したいという意欲満々でしたが、これほどのイベントを継続するのはたいへんですよね。収支まで考えると寿命が縮まる思いでしょうが、期待しております。

初日はA新聞のM記者と車で狭山行き。帰路の遅い食事は博多には珍しくないといううどんファミレス「WEST」で。おでんがあるファミレスですから、これはもうかなりイケてます。

2日目は単独行でしたが、帰路の稲荷山公園駅で旧友・川勝正幸君たちと合流。あれやこれや感想を述べあいながら池袋まで一緒でした。

Hydepark music

批評.COM  篠原章
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