国連から帰国直後の翁長知事記者会見(全文)
日時:2015年9月24日 場所:日本外国特派員協会
人権理事会が開かれたジュネーブからの帰国直後で、すっかり疲労困憊のご様子。
普段からけっして滑舌が良いとは言えない翁長知事ですが、この日は特に数字や固有名詞等の言い間違い、言い淀みが多く、会見を開くのが果たして正しかったのだろうか、と他人事ながら心配になるほどでした。とりわけ菅官房長官のことを繰り返し「副長官」と言い間違えているところが印象的ですが、ひょっとしたら日頃、世耕弘成官房副長官あたりと頻繁に話をしているのかもしれないと邪推したくなります。
Takeshi Onaga (Simultaneous interpretation in English) : “Okinawa Face-off Deepens”
FCCJchannel配信(英語)
沖縄県知事 翁長雄志
JCC株式会社(日本語)
司会:
みなさまようこそお越し頂きました。当会会長のJames Simmsです。
隣のゲストスピーカーはあらためてご紹介する必要がないほど有名な方です。
過去数か月間、このお方は海外に何度もいらして、普天間海兵隊基地の辺野古移設問題について話をされています。ごく最近ではジュネーブの国連人権理事会にもいってらしたということが話題になっております。
知事は【仲井眞】前知事が承認を下した埋め立て作業への許可、この取消も発表しています。
私は25年前からジャーナリストとして活動していますが、その間ずっと国と県との対立が続いています。
現知事に代わってから、この問題を国際社会に知ってもらおうという動きが活発になり、多くの国々がこの問題に注目することにより、新たなフェーズを切り拓こうと努力されています。
それでは翁長沖縄県知事、よろしくお願いします。
翁長沖縄県知事:
はいさいぐすーよちゅーがなびら
沖縄県知事の翁長雄志でございます。
前回5月20日に、ここ外国人特派員協会で私のその時までの沖縄の普天間基地の移設の問題、新辺野古基地の問題等々、話をさせて貰いました。
また改めてここで皆さま方にご報告をする中で、またいろいろ議論を深めて頂くことに心から感謝を申し上げたいと思います。
それから以降のいろんな出来事があった後に、昨日で終わりましたけれども、国連の人権理事会におきまして、改めてそれまでの総括の沖縄の問題を話をさせて頂きました。
今日はこれを受けてですね、今日までのいきさつをまたお話をする中から、ご質問等をうけて、ご理解を深めて貰えればありがたいと思います。
それでは、5月20日以降に起きた出来事で一番大きかったのが、8月10日から9月9日まで、約1か月工事を止めるということになりました。
私はそれまでもとにかく工事を止めて話し合いをさせてもらいたいと申し上げていましたので、政府がそれに応じて1か月工事を中断したということは、私からしても理解をする中から1か月中断いたしました。
これから報告しますけれども、1か月間で何が話し合われたかと言うと、やはり私からしますと、安全保障法制ですね、これがいろいろ切羽詰った中で、沖縄問題も抱えるのもなんだなぁ、と言う中で1か月工事を中断したのではないかというふうにも思っています。
何故ならば、5回の集中協議がありましたが、私は沖縄の問題をいろんな角度から話をさせてもらいましたが、向こうの方からはほとんどそれに対する返答は1か月の間ございませんでした。ですからそのような感じもするわけです。
しかしながら、その5回の中で私が話をきたことは、いつも終わってからの記者会見で、私はこういうふうに申し上げました、というふうに報告させて頂きましたので、その中でのいろんな経緯はですね、一定程度ご理解頂けたと思っております。
それで今日、5月20日以降の出来事で一番大きな1か月の集中協議の中で、私の方が申し上げ、ほとんど反論はなかったんですけれども、政府の話をしたものを紹介をして、これまでの経緯に変えさせて頂きましてから、皆さん方の質問を受けたいと思っております。
最初にお話をさせて頂いたのが、その前からでありますけれども、菅官房副長官。
官房副長官とは4月に最初にお話をしてから、沖縄の歴史を含め、一番私が思いを話した方でございますが、私の思い全てについて、集中協議が終わるときに私が「私のそういった話は通じませんか」という話をしましたら、「私は戦後生まれなので、そういった沖縄の置かれてきた歴史というものについてはなかなかわかりませんが、19年前の日米合同会議で辺野古が唯一だと、辺野古へ移すことが私の全てです」という話をされましたので、私自身は「お互い70年間を別々に生きてきたような感じがしますね」という話をさせてもらいました。
そしてなぜ辺野古が唯一という政府と、私が県外移設でなきゃいかんかということを簡単に申し上げますと、普天間は戦後、米軍が私たちが収容所に入っている間に、あるいは収容所じゃない【ところに】住んでいる場合には、銃剣とブルドーザーで退かして、今沖縄本島にある18パーセントを、本島の面積の18%を占めております、その基地は全て強制接収です。私たちがどうぞと差し出した土地はひとつもございません。
ですから今回新辺野古基地は初めて沖縄県側がですね、形としては初めて了解したという形になりますけれども、ただ前知事も4年前の選挙では県外移設という事で当選しましたので、ある意味では県民に約束したことを破って埋め立ての承認したわけでありますから、これを私が選挙でもって、去年、名護市長選挙、全ての衆議院選挙、沖縄県知事選挙で、辺野古に作らさないという沖縄の民意を出す形でそれを否定しましたから、私はその原点と言うものは、沖縄の強制接収にあるということがひとつ。
それからもうひとつは、その16~17年前に稲嶺知事等が辺野古で了解をしたのは条件付きだったんです。辺野古には作っても15年後には返してくださいよ、と軍民共用で使う。それから以降は沖縄県に経済振興ということで出来るのであれば、基地の負担も受けましょうということでやりましたら、橋本内閣は閣議で知事と名護市長のいうことは尊重しますということで、それを閣議で決定してからこの問題を進めたんですが、小泉内閣、平成18年になります、橋本さんの場合には平成11年、それから7年後の平成18年には小泉総理がそのときの11年の閣議決定を打ち消してしまいました。
ですから正式に沖縄県側が辺野古でいいですよ、といったものも全部反故にしたわけですから、それも原点としてはおかしいというようなことを菅さんには話をさせて頂いたわけであります。
それから、その中でも、中谷防衛大臣とは抑止力については、閣僚4名の中では議論をした方であります。
中谷さんはどう言いったかというと、中国が大変脅威であると、だから自衛隊のスクランブルも2倍3倍と回数が多くなっているので、是非とも沖縄にミサイルも配置したいし、自衛隊も改めて宮古と石垣に数百名程度配置をしたいというような話をされておりました。それが抑止力に繋がるんだという話がありましたので、私の方からは「沖縄は27年間米軍の施政権下から外された時には、日本国民でもない、アメリカ国民でもない中で、ベトナム戦争を沖縄の基地を使って戦争したわけなんです、日本の戦後の平和と高度経済成長は、沖縄が27年間、米軍が自由に使うことによって成り立ったもんだというように私は思っています」と申し上げました。
そしてそういう状況でありますから、沖縄が27年間そういったような形で軍事基地であったことから、当時はソビエト連邦、中国が共産主義社会として世界がどうなるかわからんという時に沖縄が要石として必要だと言われておったんですが、あれから40年経ちまして、今中国が脅威だと言っても、あの冷戦構造に対して、どれだけ脅威になっているかということがなんにも説明がない。そして安保法制の中では、中東のホルムズ海峡まで沖縄の基地を使って、抑止力としてやる、あるいは南沙諸島に中国が進出するのまでも、沖縄の基地がその役割を果たすんだという話を中谷さんがされたときに、私は、ホルムズ海峡と南沙諸島まで沖縄が守らなきゃいかんのか、日本の安全保障は日本国民全体で守るべきではないのかという話をするんですが、まったく他の知事さんや市長さんは反対するんですよ、といって取り合いません。
しかし沖縄県は、2~3年前、全41市町村長、全41市町村議長、全県会議員が、銀座でデモをして官邸に「沖縄はダメですよ」といって全員で揃って反対の要請書を出しましたけれども、5分しか会ってくれない上に、一顧だにされませんでした。
ですからこういった状況等も中谷さんに話はしました。
この3年前からは、アーミテージさんとか、ジョセフ・ナイさんとか、マイク・モチヅキさんとかは、沖縄はむしろ中国に近いから危ないんだと、ミサイルが発達しましたので、中国のミサイルの命中度とそれから近いということは、沖縄全体が普天間や嘉手納が一発で沈んでしまうので、むしろオーストラリア、グアム、ハワイ、本国に置いといて、いざという時に沖縄に来て有事の時にはやった方が柔軟性があって、アジアの安定にも有効なんだというような話もずっとあったわけなんですけれども、それも今は聞く耳をもたないようであります。
ですから、沖縄にミサイルが飛んできたらどうするんですか、と言った時の中谷さんの発言は、沖縄にこれからミサイルを配備するので、ミサイルが来たらミサイルで撃ち落とすというんですよね。
私はそれを聞いたときに、沖縄県を領土としてしか考えてないな、140万の人間が住んでいるということ、70年前に日本軍と一緒になって10万人以上が亡くなったという事、そういった事等がまったく今日まで反省がないような形でありますから、中谷さんと話をさせて頂きました。
それから岸田外務大臣には、私たちはそういうことですから、ワシントンDCにも行ったりして過去何回も歴代の知事含めて、県会議員とかワシントンDCに行っております。
その時に向こうの高官が仰るのは、かならずこういうことを言います。
話を聞いてもらったあと、「これは日本国内の問題だから日本政府に話をしなさい」というんですね。
私たちは帰ってきて、その時々の外務大臣、防衛大臣に、「アメリカは日本政府が決めると言ってますよ、とだからお願いしますよ」という話をしますと、いえ、後ろからアメリカが嫌だというんだよという話で、私たちはたらいまわしにされます。
ですから本当に日本が独立国家なのかということについては、沖縄県が米軍基地を預かって、日米地位協定の厳しさも壁としてわかる中で、日本のあり方と言うのが良く見えて参ります。
それから総理とお話した時には、たくさんの話をしたんですが、最後の方に話をしたのは、世界一危険だと言われているあの普天間基地、そして新辺野古基地が出来ないのならば、固定化をすると言うんですよね。
13年前にラムズフェルド国防長官が来て、「こんな危険な基地はない、はやくどかすように」とラムズフェルド国防長官が話をされて帰ってからが普天間の具体化が進んできたんですけれども、辺野古が唯一と言って、それを作らせないのであれば普天間を固定化する、本当に世界一危険な基地を総理は固定化するつもりですか、という話をしましたら、何にも返事がなかったところからすると、大変おかしなものだと思っています。
最後になりますけれども、山口沖縄担当大臣、沖縄の予算を扱っております。
沖縄が苦慮している、苦しんでいるのは何かと言うと、本土の方々が沖縄は基地を預かっているからたくさんの振興策を貰っているという誤解があります。
なぜそういう誤解がされるかというと、いつも年末にですね、沖縄の振興予算3000億円確保、とあるんですよね。
そうすると、本土の方々が何を思ってるかと言うと、47都道府県が全て等しく予算を貰ったうえで、沖縄県が3000億円、もらっているという誤解をするわけでございます。
これはまったく違っていまして、沖縄県は27年間、日本人でもないアメリカ人でもない日本国憲法の適用もない、当然合衆国の憲法の適用もない、ドルを使って22年間生きて来ましたから、治外法権の中で生きてきたわけですね。
ですから、44年前に復帰をしたときには、国会議員も一度も出したことないわけですから、予算の取り方も分からないわけですね。予算の取り方が分からないから、間に沖縄開発庁が40年前に入って、今は内閣府の沖縄担当が間に入って、私たちの気持ちを聞いて、財務省に話をして、纏めて予算を取って来るというのが沖縄県、47都道府県の中で唯一なんです。
他の46都道府県はそれぞれの都道府県の各部長さんが、土建部長さんが道路を作る、教育委員会が学校を作る、福祉部のところが貧しい人たちに何をするというようなことを政府に言って、それぞれが予算を貰ってくるわけですから、何も発表される予算はないんです。
新潟県の振興予算はいくらですとか、高知県の振興予算はいくらですとかありません。
自分でしっかりと数千億円予算を取ってるわけです。
沖縄だけが、27年間のブランクの中で予算の取り方がわからないだろうということで、今日まで44年間、間に内閣府が入ってそれを意見を聞いて取ってきたわけですから、あとで年末に沖縄県の予算3000億円と出てくるわけです。
ですから、地方交付税は沖縄県は全国の16位です。国庫支出金を合わせて6位。
そして6位というのも、6位のところに7県くらい並んでますので、特段、突出してどうこうという話ではありません。
そして、なぜ上位の方にあるかといえば、27年間まったく顧みられませんでしたから、沖縄県は戦争のあと道路も、例えば待機児童、保育園などもほとんど認可保育園等ないという状況、そういったものを本土並みに是正をするということで、公立補助とかいろんなものが出てきたわけで、これも特に都道府県で突出したものではございませんので、これがいわゆる一番の誤解になって、私は去年まで市長をしておりましたけれども、全国市長会に行っても必ずこういわれるんです。
基地問題、何とかみなさんで解決してくださいと言うと、「沖縄は、基地を置いて、振興策を貰ったらいいですよ、羨ましいですね」等という話を色んな方々から言われます。そうったものに反論するのはなかなか簡単ではございません。
ですから、今日までそういう話を訴えて来ましたので、今日またこういう事をもう少し詳しくお聞きしたいんであれば、また今日ご説明もしますので、こういう形で5名の閣僚とも話をしてきたことを受けて、これから国際社会にも訴えなきゃいかんなぁということで、国連の人権理事会で2~3日前に発表させて頂きました。
今日までのいきさつを改めてご報告をさせて頂きましたので、またご質問とかありましたら、よろしくお願いいたします。
司会:
では質疑を行きたいと思います。携帯電話をまず切ってください、スピーチは止めてください、名前と所属をおっしゃった上で1問お願いします。
その前に私の方から。
国連人権理事会の反応はどうでしたか。そして仰った内容について、何か行動を取るというようなことを示唆されるというようなことはあったのでしょうか。
翁長県知事:
国連の人権理事会というのは、数は…何名でしょうかね、200~300名の方が、前半の方には国の代表がおられて、後ろの方には世界のNGO、人権問題を考えるNGOの皆さん方がおられて、そしてスピーチの時間は2分でありました。
ですから、今の話を2分間に凝縮して私は話をさせて貰いました。
そして私が話をする前には、北朝鮮の人権問題が話し合われておったわけで、大変そういった問題がありました。そこで私の意見も、議論をして人権理事会が結論を出すというようなところではございませんでした。
ただし日本政府の方から反論がありまして、NGO枠を使って話をする者に国が反論するというのはめったにないらしいんですが、今日までの沖縄問題を考えるにあたって、菅官房長官がおっしゃるような話をして、それも2分間で反論しました。
こちら側のNGOがですね、私は帰国になっておりましたから、反論する時間まで残れませんでしたけれども、その方々が、「1か月前に西普天間が50haを返しましたよ」と日本政府が話をしてるんですね、つまり基地の削減にも「私たちは力を尽くしてるんですよ」と言ったあとの私どもと同じ考えを持つNGOの方が言ったのは、「それって、いくら返って来たかわかりますか、0.2%から0.02%ですよ」という形で反論をして来たらしいんですが、
こういって0.1%くらいとか0.2%くらいとかを返したことを大きく誇張するような反論だったという意味では大変残念だったと思っております。
質問者:
はいさい、翁長さん
ジュネーブにいらっしゃったわけでございますが、今、安保法制が日本で可決されましたので、大変状況が複雑になっていると思います。これからは沖縄が標的になるかもしれませんね。
つまり、政府への圧力をかけるために、沖縄も利用するという事が政治的なカードになるのではないかと思っております。つまり、国民の大半が、安保法制の可決の方法について怒っているという事で、沖縄はそれに関して利用されるということは考えられますでしょうか。利用出来るということは考えられますでしょうか。
翁長県知事:
安保法制、これは、あの集団自衛権ということでですね、密接な関係、ほとんどアメリカを指すと思いますが、アメリカの後方支援という事で、日本の自衛隊が行動できる範囲が大きくなってきていると思います。
その場合に、先ほどの中谷防衛大臣が、中国のスクランブルで2倍3倍になったので、沖縄県の基地を強化するんだという話がありました。その一環としての新辺野古基地、これはまた日米両政府、或いはまた米軍やまた自衛隊の幹部が言っているように、これから日米共同で新辺野古基地を運用するんだというような話であります。
沖縄県は、私がさっき申し上げましたが、自ら差し出した基地と言うのは一回もないんですね、全部強制接収で取られた基地ばっかり。だから私たちは基地の在り方に口を差し挟めるのですが、今回あの美しい大浦湾のジュゴンやウミガメが住んでいるところを160ha埋め立てて新しい基地を作るのは、これは国有地に変わります。
いわゆる国の土地になるわけで、私たちの沖縄県の中で、私たちが手が届かない基地が出来あがるわけで、これはまさしく基地機能の…、普天間は今老朽化してますから、ここに270mクラスの船が接岸できるようなバースも作りますし、弾薬庫も今は遠い所にあるんですが、それもそこにに合理的に配置されることを考えると、この安保法制というものが、沖縄をベースにして基地機能の強化になっているというようなものが見えて参ります。
ですから今安保法制に大変国民が危惧をしております。
この法律を作る手続き論でも危惧をしていますが、その内容でも危惧をされておりまして、これはどの新聞の世論調査でも反対が2倍くらいになっていることを考えると、私は国民が安保法制の危険性について感じているものを沖縄は現実に動いているところだという意味では、私たちは現状を伝えることによって、本土の皆さん方に「先々は日本全体がそうなるんだな」とあるいはまた「日米安保体制と言うものがアジアに貢献しているように見えるけれども、一触即発という危険性も隣り合わせに持っているんだ」ということをご理解頂ければ、私たちの沖縄の今の基地の在り方等を全国民に知らしめるということでは大変大きな日本国民全体での理解が進むのではないかと思っています。
質問者:
今日はありがとうございます。私は沖縄に関しては、20年間ほど報道しております。
私、最近は過去のレポートをコピーして日付だけを変えております。状況が全く変わっていない、堂々巡りである、まったく変わっていないということだと思います。
日本政府は何とか沖縄の理解を取りたい、まったくこの先も変わる見込みはないと思います。
民主党の鳩山氏が登場した時も、基地は県外に、といったわけですけれども、その後になって「スミマセン間違いでした、基地は県内に」となったわけです。
したがって変更される見込み、期待はないと思います。
新しい方針で、例えば受け入れるというのはどうでしょう。
アメリカは基地は世界の繁栄につながる、そして各国の民主化につながると言っております。
こういったことについてどのようなコメントをお持ちでしょうか。
翁長県知事:
堂々巡りですね。
ですから、小さな、沖縄は136年前までは独立国だったんですよね。人口数十万人ですから小さな国です。
それが日本に併合されました。
そして立派な日本人になろうと思って、自分の言葉も使わないようにして、日本語を練習して、日本人になろうとした。
次に来たものが70年前の第二次世界大戦です。その中で沖縄本島で行われたものは、県民が12万2000人が亡くなって、日本軍も9万ほど、アメリカも1万ほどと亡くなったんですが、その中で一番悲惨な目にあったのは県民でございまして、軍隊と一緒に逃げまくって、足手まといになるからと日本軍から壕の中から日本軍によって出されたり、言えば言うほど私が惨めになるくらいいろんなことがございました。
そういうことで戦争が終わったら、住民がいない間に、住民がいる場合は銃剣とブルドーザーで今の基地は全部出来上がったわけですね。私が差し出したわけでもない、自己決定権とか何もない、何もかも大きな権力の前で今の基地は取られたわけであります。
戦後7年め、1952年に、日本政府は今度は、その70年ほど前に【136年前に】沖縄を併合しておきながら、1952年に米軍の施政権下に沖縄は差し出されて、国籍不明になってしまいました。
こういったことを経てきた沖縄が、今、日米両政府という大きな権力と沖縄の自己決定権を含め、基地から派生する人権を守るために、いろいろ発言するものを「勝てそうにもないから言うことを聞いてそのままにしていなさいよ」ということが、今質問された方もそうですけれども、自らひとりひとりがそういう境遇になったときには、これは致し方なしという事で、みんなそれぞれ自分の生き方、同胞の生き方、こういった事に関して容認する気持ちがあるのかどうかですね。
これがなければ、私は人間としての生きる意味合いが相当薄れるのではないかという気持ちがあるもんですから、私はいろいろ頑張っております。
そして民主主義がが世界に及ぼすという日米安保体制なんですが、これを私は国連でも話をしてまいりましたけれども、沖縄県の自己選択権、あるいは人権、自由、平等、そういったことを何にも保障もしないこの国が世界に自由と平等と人権と或いはまた民主主義というものを共通して持つ連帯の国をつくって、ま、どこに国とどっかの国と対峙しようという資格があるのかという話なんですね。
小さなものは全部翻弄してかまわないというような国が、どうして世界の国に確固たる民主主義国家としてこのものがあるのかどうかと。
戦争を防ぐという意味では、今、力を持っているかと思いますけれども、その理念を伝えきれるかどうかということで言ったら、日米安保の品格と言う意味で、大変さもしいものがあるのではないかと思っております。
質問者:
日本語で質問します。ビデオニュースのジンボウと言います。
もしも、埋め立ての許可を知事が取り消されて、国はその埋め立てを続行する、強行するとなった場合に、実際にその工事を妨害、あるいはそれに対して反対運動をするために市民が何か活動をやって、そこにそれを排除するために、沖縄県警が警察権を行使した場合に、沖縄県知事というのは警察に対して何か一定の権限を持っているのでしょうか。それから持っているとすれば、実際に何らかの権限を発動する準備は、用意はあるのでしょうか。
県の公安委員会というのは、知事の管轄下にあると理解していますので、一定の予算を出されていると思いますが、その辺よろしくお願いします。
翁長県知事:
沖縄県警は、議会などで答弁するときにも私どもと同じサイドに座って質問を受けるのですが、私はそれ以外の各部局の答弁内容は私がチェックをして、お互い見識を一つにして答弁するのですが、沖縄県もそうですけれども、他の都道府県も、警察の方は答弁権そのものが私たちとは全く関係ありません。
ですから調整したことは一度もございませんし、警察法施行令によりますと、やはり沖縄県公安委員会の管理下に置かれておりますが、公安委員会は中立独立ですので、こういった意味では沖縄県知事が公安委員会に指揮指導することは全くございません。
そしてまた幹部人事なども中央から送られてきた方が大変権限をもっておりますから、沖縄県知事が関与するものは予算だけが一定程度あるということだけになります。
ですから、今いったような場所で、私がこうしろああしろというようなことは出来る状況ではございません。
質問者:
ニコニコ動画です。よろしくお願いします。
民意に関連して質問させてください。
昨日になりますけれども、来年1月24日投開票の沖縄県宜野湾市長選に、元県職員の志村氏が立候補を表明されました。
米軍普天間飛行場の固定化訴訟を掲げております佐喜眞氏も再選を目指すという事で、移設反対の知事派候補と自民党支援の候補の一騎打ちの構図と言われていますが、民意に関連してご所見をお願いたします。
翁長県知事:
実は今の宜野湾の市長さんも3年ほど前の選挙の時には、普天間は県外移設という事で当選をされましたが、自民党県連が変わって行きましたので、そういう意味からいいますと、そのことについては話をしなくなりました。
今回、この民意ということでありますけれども、昨年のこの件に関する選挙が4つ行われております。
名護市長選挙、これは4000票差で今の稲嶺さん、反対をする人が当選をしました。
名護市議会も26議席の過半数を反対する議員が占めております。
私の沖縄県知事選挙では、私が36万で、承認をした前知事が26万と言うことで、10万票差で私が当選いたしました。
それから安倍内閣の総選挙が去年の12月頃行われましたけれども、290議席を取って、そして60日ルールを使ってでも安保法制を出来るんだというような大量の当選者を出したんですが、沖縄においての4つの選挙は全部反対派が当選をいたしました。
それを受けて今基地問題で今日まで、先程から話をしてる通りのことがあるわけですけれども、来年すぐに行われるのが1月24日の宜野湾市長選挙、これは昨年の私が辺野古基地を作らせないというような選挙の36万人の中身がどうだったかというと、宜野湾でも私が3000票勝っております。
衆議院選挙でも辺野古では基地を作らさないという候補者が6000票、宜野湾で勝っております。
ですからそういう意味でも民意は宜野湾の基地があるということは絶対に許されないことでありますけれども、今まで自ら差し出したことのない基地、そして全部強制接収された土地の基地の中で苦しんで来たこの沖縄県からすると、それは日本国民全体で引き受けるべきであって、新辺野古基地に強引に推し進めていくというのは、県民全体でNOと言っている中から、普天間の固定化は避けるということになります。
昨年の、一昨年の仲井眞さんが承認をしたときの大きな理由のひとつに、普天間の5年以内の運用停止と言うのがあります。つまり辺野古基地が作られていく中で5年以内には普天間の飛行機が飛ばないような状況を作りあげるというのが総理と官房長官の約束でありましたけれども、今、何を言っているかと言うと、辺野古を作らせないと言っている私が当選したからその話は反故になるというような話をしておりますが、実際には仲井眞さんが承認を取り消した翌年の2月からですね、「ここからじゃ5年間というのを計算しましょうね」というのをもう1年半以上になるわけでございますけれども、アメリカの高官からは「そんなものが受け入れられるかと、そんなもん出来ませんよ」という反論もたくさんありました。
そして日本政府もそれについて、仲井眞さんと私が選挙していたときには誰が当選するかわかりませんから、少なくとも8か月間くらいはそれの努力をする形跡があってもよさそうなんですが、があってもよさそうなもんですが、5年以内の運用停止の中の8か月間仲井眞さんが当選しないということがわかるまで何もしなかったところを見るとこれは空手形ではなかったのかな、と私は思っておりますので、こういう意味からしてもこの推移については大変疑問もありますし、ですから普天間の首長選挙は必ず勝って、名護でも宜野湾でも沖縄県伝全体でも沖縄県の意思表示をするよう頑張っていきたいなと思っております。
質問者:
ハックと申します。バングラデシュの記者でございます。
沖縄で声が高まっているかと思いますが、やはり独立すべきと言う話が出て来ていると思うんですが、このような声がどんどん増えてくると思うんですが、この沖縄独立案についてどう思うんでしょうか。
翁長県知事:
沖縄の置かれてきた歴史からするとですね、世界中のいろんなところがあると思いますので、それぞれ国のあり方は違いますけれども、今仰るようなことを懸念する方もおられます。
しかし私からすると、よく私どもとは考え方の違う本土の方が独立するようなものをやるんですか、というようなお話をするんですが、私たちからすると、戦後7年目の1952年に日本の独立と引き換えに沖縄を切り離したわけですよ。
私たちが切り離されるという事を選んだのではなくて、日本政府が切り離したんですね。
ですから私たちに独立かどうかというのはそういった事も踏まえた中で、どうあるべきかという事も考えていかなきゃならんと思うんですが、今回国連で言って来た自己決定権と言うのは、私たちが歴史的にも翻弄されて来て、そして今現在、自らの海までも、ある意味で銃剣とブルドーザーで埋め立てられて、新しい基地になる。
民意をないがしろにされた中で基地になるという中で、日本国民として、日本国民の方々にも訴えて、そしてみんなで考えていこうじゃないかと。
日本の民主主義と言うものは、今沖縄に極端に表れてますけれども、福島もそうでありますが、そう言った国のために犠牲になった者に対して、大変に冷淡な国が今の民主主義という日本の中で私はあるような気がします。
東北大震災やいろんな中で日本国民の本当に困った人を助けていくという大変な美点も世界に評価をされているところでありますが、政治的な意味合いで虐げられたような感じ、切り捨てられたようなところに冷たいような感じがするのは、私は大変残念な状況だと思っております。
ですから私たちは自己決定権と言う自らの運命というものは自らが相当関わることが出来るようなものの中で民主主義と言うものがあるべきであって、それを一顧だにしないように切り捨てられるようなものが、私たちが独立をするという以前に、日本の民主主義のあり方としておかしいんだということを国民が気付いて頂かなければ、これは私はいけないなぁ、と思っております。
私たちの今置かれている位置は、アジアのダイナミズムを経済的な発展を取り入れて、今、情報産業また観光産業、また物流拠点として、大変沖縄は飛躍的に発展しようとしております。日本とアジアの交流の架け橋、琉球王国時代の万国津梁の精神というのは、アジアの架け橋になろう、日本と中国が鎖国をしておりましたから、沖縄は日本、朝鮮、中国、タイ、フィリピン、ベトナム、こういった所を何百年前に駆け巡って、大交易時代、貿易を中心として、小さな国ながら栄えて来ました。
ですから今私たちが望んでいるのは、そう言ったものの中で日本とアジアの架け橋になろう、そして基地の要塞化ではなくて、沖縄県全体にミサイルを置いたり、基地を置くのではなくて、むしろ平和の緩衝地帯としてアジアの国連機関とか或いはアジアの色々な方々が沖縄に住むことによって、私たちはアジアの交流の中で生きて来ましたので、その意味では東西1000km南北400kmの中に160の島々があって、40の島々に人が住んでおりますけれども、これは文化的にもアジアと長い交流の中で出来上がってきた沖縄の文化です。
ですからむしろ沖縄が平和の緩衝地帯として生きていくことに私たちは意味を持っているからこそ基地にも反対するわけでありまして、むしろ日本の品格を、私は沖縄が高められるんだというふうに思っているわけですから、是非そのことはご理解頂きたいなと思っています。
質問者:
オーストリアの新聞社のムンですけれど、もしこのような基地建設の強化を無効にする、取り消すという事になりますと、裁判で何年にもわたって戦う事になると思います。そういったことが起きてしまったら、基地の建設はどうなるんでしょうか。政府はそれでも基地を建設するんでしょうか。
もし5年後勝訴したならば、もう基地は既に完成しているかもしれません。そうなってしまったらどうなるんでしょうか。裁判中でも基地建設を止めることが出来るんですか、どうするんですか。
翁長県知事:
基地は止められるのかということであります。
私がまさしく国連で演説をさせて頂きましたのも、日本の民主主義とアメリカの民主主義、つまり沖縄県民の自由、平等、人権、民主主義というものをほとんど顧みない日米安保体制の中で基地が出来上がっていくことについての、警鐘を世界中の人で鳴らしてもらいたいというようなことで申し上げてきたわけであります。
日米両政府の権力と、140万人の沖縄県民が戦うということになりますと、誰がみても沖縄に勝ち目がない等と思うように思います。
しかしながら、私たちは、27年間米軍の施政権下で無国籍の人間として人権を蹂躙された時代も生きて来て、その中で小さな島ながら戦って、ひとつひとつ人権を積み上げて来た私たちには強さがございます。
ですから、行政とすれば、いわゆる日本国憲法あるいはそれぞれの法律に従って、法律的に取消が出来るように行政としてはやります。
それから沖縄県民としては、あんな美しい海を世界の環境問題から言ってもこれは許されない。美しいサンゴの海を埋め立てるわけです。私はよく本土の方々にいうのですが、日本の安全保障のためだったら、十和田湖も埋め立てますか、松島湾も埋め立てますか、琵琶湖も埋め立てますか、と。
自分のところにそういうことも出来ない人たちが、沖縄の美しい海をこのような形で埋め立てるってこと自体が私からすると、日本の民主主義はおかしなものになっていると思います。
しかしこれから何年か経ちます、安倍政権も一番長くてあと3年です。来年は参議院選挙も起こります。国の民意というのもその時々で表されて参ります。
ですから私たちは、沖縄県を挙げてこういった問題を訴えながら、そして日本国の民意も変わっていくという事も十二分にあり得ることですので、今、普通に考えれば10年かかると言われていますけれども、その中で私たちも県の権限、名護市は名護市の権限等々で、色々持っているものがございます。そういうものを世界中の人々に見て頂いて、日米安保体制の品格と言うものをみんなでご覧になって頂いて、その中から物事を解決する道を探していきたいと思っております。
質問者:
ちょっと失礼いたしますが、基地のパーセンテージついて、他の都道府県に比べて沖縄の基地のパーセンテージというのは高いんでしょうか、低いんでしょうか。
それから今反対していらっしゃるのは基地が取得されたその方法に問題があると、その米軍基地が接収されたから、というところが問題なんでしょうか。
もう少しご説明頂けますか。
翁長県知事:
沖縄県は他の都道府県に比べて多いのか少ないのか、というようなことでありますけれども、沖縄県の日本国の中で占める割合は、0.6%です。
0.6%にアメリカの米軍専用施設が73.8%があります。
73.8%と0.6%ということを国民ひとりあたりに変えますと、一人当たりで負担しているものは沖縄は800倍くらい負担をしてるわけですね。ですからその意味でも沖縄は大変な例外なことであります。
そしてそれも、強制接収をされたという自ら軍用地料をもらうために「どうぞどうぞお使いください、私たちはお金が欲しいですから」と言って差し出した場合には沖縄県にも責任があるでしょうけれども、私たちが収容所に入っている時、そしている場合にも銃剣とブルドーザーで壊して基地が作られてきた経緯がありますから、そういった経緯の中でこれだけの基地が作られました。
そして今度はサンフランシスコ講話条約で日本から切り離された時に朝鮮戦争が起きたんです。
すると、その時までの沖縄には海兵隊はいなかったんです。
ところが朝鮮戦争のために、海兵隊が北九州辺りとか、岐阜とか、山梨とか、岩国に来たんですね、海兵隊の基地がですね。
そうすると朝鮮戦争が終わって何が起きたかと言うと、日本の本土の国内で米軍反対の運動が起きたんです。
60年安保を控えてますから、そのときの日本の人たちの反対運動の高まりで、日米関係がおかしくなるという事で何が起きたかと言うと、本土にある海兵隊がみんな沖縄に移動して来たんです。
もう沖縄は日本から切り離されてますので、ここはもうどこの島でもないわけです。
米軍が高等弁務官が、軍人が占領しているトップにいる沖縄ですので、海兵隊は続々続々沖縄に来て、普天間飛行場はその作られている時には、まだ県民が歩いたりするくらいのどかな飛行場だったんですよ。
それが朝鮮戦争が終わって、日本国内で嫌だという運動が起きたので、沖縄なら嫌だとはいうまい、ということで、沖縄にどんどんどんどん持ってきたわけですね。
ですから取得過程にも問題がありますし、現に置かれているパーセンテージも問題でありますし、もともとは日本国内にあったんですね。
中谷防衛大臣と話をしたときに、ひとつだけわたしが「これは違うんじゃないですか」と強く言ったのは、朝鮮戦争があったから海兵隊が日本に来て、それがまた沖縄に来たわけですけれども、朝鮮戦争のときのベースはどこにあったかといったら、九州の北にあったんです。
九州の北が、向こう、韓国・北朝鮮に近いわけですから、本来なら今、北朝鮮がミサイルを飛ばす心配があるんであれば九州の北の方にミサイルをおいて、北朝鮮に対峙するのが日本の日米安保体制からいうと大変有効なことだと思います。
しかしそこは何の理由か判りませんが、危ないと。
沖縄からみんなミサイルも発射するんだというこういった物が全てに渡って見えてきますので、沖縄県民からすると大変、私たちはいったい何なんだろうというものをひとりひとりが持っているという事を是非ご理解頂きたいと思います。
質問者:
私がみたところでは、83%の日本の自衛隊施設はないと。
つまり70%の自衛隊の設備も沖縄にあるんでしょうか。
それをまず確認した上で、次の質問にうつりたいと思いますけれど、自衛隊はどうなんでしょう。
翁長県知事:
当然27年間、米軍に施政権下に出されたわけですから、沖縄県は44年前まで全部米軍でした。
そしてその米軍も減らない中で、那覇空港、今観光客が720万人沖縄に訪れますけれども、その那覇空港の傍に自衛隊の大きな基地があります。
これは中国をにらんでの、今その質問が出ると思いませんでしたので、大きさの基数とかは説明できませんが、これは大変大きな米軍な基地であります。【自衛隊の基地、のいい間違い】
今度は与那国と言う台湾に一番近いところに基地が建設されることになりました。
それから中谷防衛大臣がこの前お出でになったときに、国会でも議論になってますから、予算も獲得したという事ですので出来ると思いますけれど、出来るという方向で動いていると思いますが、宮古、石垣にも数百名規模の自衛隊が入って来るということになっております。
ですから、全国で自衛隊が置かれている県は10いくつかだと思いますが、米軍が置かれているところもいくつかありますが、併せてと言うことになりますと、沖縄と言うのは不沈空母それこそ要塞のような島になりつつあると思っております。
質問者:
フルフォードと申します。日本語で質問をさせて頂きます。
知事のさっきの説明では、沖縄の米軍基地と言うのは中国から日本を守る軍事的意味合いはないとおっしゃいましたけれども、専門家の意見として。
知事によると基地の本当の目的はなんだと思いますか。
なんで日本の沖縄にあるかということです。
翁長県知事:
先程の説明をどのように聞いたかわかりませんけれども、中国から日本を守る異議を私は否定したわけじゃないんです。
中国から日本を守るのであれば、日本国民全体で守って貰いたいという事を言っているんです。
何故沖縄だけにミサイルから何からこれだけの基地を置いて、いざ戦争になったときに沖縄が戦場になるのは当たり前じゃないですか。何かが起きたら、普天間や嘉手納にミサイルを向けて撃つのは当たり前であって、だから「私は北朝鮮だったら、九州の北の方に起きなさいよ」と言っているわけですね。
ロシアが脅威になるのであれば、北海道や東北に置くのが筋じゃないですか、という意味で言っているわけで、何も中国の脅威がないから沖縄に置くべきでないと言っているわけじゃないんです。
沖縄があまりにもこういったものの歴史的にもそうですが、現状においても何のかかわりもなく、日本を守るために沖縄が前線に差し出されてるんじゃないですか、とそういうことを申し上げてるんです。
質問者:
シールズの奥田さんはオール沖縄に真似て、オールジャパンを掲げて、保守から共産党の勢力を結集して政権交代を目指そう、安倍政権の暴走を止めようとしているのですが、オール沖縄の手法を伝授するとか、連携するとかいうお考えはないでしょうか。安倍政権を打倒する、安保法制を反対する勢力との連携についてご意見をお聞かせください。
翁長県知事:
沖縄の「オール沖縄」と言うのは長年にわたってるんですね。蓄積をされてきたものであります。
一番保守と革新が自分で望んで持ってきたわけでもない基地を挟んで、自由主義社会を守るんだ、生活を守るんだ、というのが保守でありました。
そして、この中で婦女暴行事件とか、小学校にジェット機が堕ちたとか、車で沖縄の人をひき殺しても無罪になって帰っていくとか、どういった出来事を見て来ておりますので、革新のみなさん方は人権とか尊厳、誇りというものがなければ人間は生きていけないのではないかと、戦後ふたつでもって補完をしあいながら沖縄の政治と言うものはあったと思っております。
しかしながら、経済という意味でもアジアのダイナミミズムが起きて来て、今沖縄は観光産業から情報通信産業から、大変経済的に成り立って行ける自信を持ってきております。
ですから革新の皆さん方も所謂55年体制や冷戦構造が終わった中での意義づけという意味から言うと、大変いろいろお考えになっていると思います。
その中で何が変わらないかと言うのは、沖縄の基地問題が0.6%の面積に73.8%という日本国中でも著しく基地が置かれている状況があるもんですから、それはもういがみ合って、二つが力を削がれないで、心をひとつにして、日本政府、アメリカ政府にぶつかっていきましょうよ、私たちが分かれておったのでは、ただでさえ私たちの力は日本国やアメリカの国からしたら、億分の一、万分の一の力でもありません、億分の一の力しかない中で私たちの県民が心をひとつにしてこの問題に当たりましょうよ、という中で保守も革新も一緒になっております。
ですから今、シールズの方がどういう形で今思っておられるか分かりませんが、思っている事は大変重要だと思います。
だけど、沖縄が築いてきたもの、それが大変いい形でさわれるものであれば、私たちもこういうことでしたよ、ということで話をしてやっていきますけれども、今現在そういう意味からすると一強多弱と言われておりますけれども、沖縄のオール沖縄という形ではなくても、多弱と言われている方々は心をひとつにして頑張る必要があるのではないかなと。その方が日本の民主主義と言う意味でも、しっかりとした民主主義になるのではないかと思っております。
質問者:
ビデオニュースのジンボウです。
前回知事がこちらに来られた時に、「沖縄どうするんだ、どうするんだ」という質問がいっぱい出てきたときに、知事が「これは沖縄の問題というよりもむしろ日本の問題、本土の問題、あなたたちはどうするんですか」という問いをこの会見でなされました。
その後、安保法制などを巡って、かなり多くの人が政治参加する機会を日本は持ったわけですが、知事の感触として、その後、前回来てから今回までの間に、沖縄問題に対する沖縄外、つまり本土の人たちの沖縄に対する姿勢、見かた、態度、メディアの論調も含めて、変化なり、前進なり、知事から見ての前進なりがあれば教えてください、なければそれも教えてください。
翁長県知事:
私が知事になってから約1年近くなろうとしていますけれども、東京要請行動、沖縄県の政治家がみんなで東京に行って反対を訴えても一顧だにしなかったという状況から、今どういうふうになっているかと言いますと、特に辺野古の問題に関して言いましたら、私が各閣僚と話をする内容が皆さん方で報道して頂いた中で、日本国民の約10%を上回る人が…、各社によってパーセントが違いますので、平均で言いますと、沖縄に基地を置かない方がいいという人が40%、置いてもいいという人が30%ということで、沖縄に基地を置くべきでないというのが各新聞の世論調査の平均的な状況になったという意味では、やはり本土の方々もこの問題に関心を持って、そして、数字でもって表して頂けたなというふうに思っております。
それから今の安保法制についても、これは各社ばらばらでございますけれども、平均するとたぶん、安保法制に反対が60%で賛成が30%くらいの、2倍くらいの反対をしているというのが、そんなに違わない形で国民の世論の調査だというように思っております。
ですから、この流れと言うようなものはございますが、私は、所謂沖縄もそうでありましたけれども、県民の方が政治の先を行っているという、もう各政党会派というよりもこのことの問題について、みんなでまとまって「何とかしてちょうだいよ」ということが沖縄県にあったからこそ、オール沖縄になったんですね。
ですから日本の政治もちょっとひどいんじゃないですか、手続き的にも、こんなに反対があってもこんな法律を通してしまうということでは、もうどの政党が大きくなろうが小さかろうがと大したことじゃないでしょう、と。
こういうものにもっと力を結集出来るようなものを作って、そして、この、民意を本当に問えるような政治にしてもらいたいというのが、私は本土の方々の考え方にも強く色濃く出て来たなと。
という意味では、今回の強行採決みたいなものは、その後の日本の民主主義というものあり方については、大きく反省するところにいくか、なし崩しに押し込まれて日常から非日常という紙一重のところに乗り越えていくのか、これはもうみんなで考える事ですので、私からは申し上げられませんが、やっぱりその辺のところを考えながら、今現状としては、多弱であるけれども、良い方向に行っているのではないかというふうに思っております。
司会:
残念ながら、時間が来てしまいました。
最後に短いアナウンスです。
私たちは政府の代表、閣僚、また自民党の政策担当にここに来て頂き、こういった問題について 話して頂きたいと要請しております。
普天間、辺野古のみならず他の問題についても、沖縄経済ですとか、その他についても話してほしいと要請しました。
この1年間いろいろと要請しておりますけれども、これと言って良いお返事が来ておりません。
政府も自民党も拒んでおります。
この前、自民党の二階さんとお話をしたんですけれども、出来れば自民党のどなたかに来ていただいて、こういった問題について話して頂きたいと思っております。
色々な意見を聞くということは大事だと思いますので、是非とも実現したいと思っております。
いずれにしても、翁長知事に感謝申し上げたいと思います。今日はお越しいただきましてありがとうございます。
大変お忙しい中で、ジュネーブから戻られてばかりで多少時差ボケもあるのではないかと思います。大変短いジュネーブだったと思います。
いつものことながら、すでに名誉会員でいらっしゃると思いますが、もう一度名誉会員にさせて頂きたいと思います。またいつか来ていただきたいと思います。
今度は基地の問題だけでなく、その他の沖縄が直面している問題、例えば経済ですとか、今おっしゃったようないろいろな問題、観光、ITのハブになる、物流ハブになるというようなことについてもお話し頂きたいと思います。
他の基地の事以外についてもお話し頂きたいと思います。いずれにしてもありがとうございました。
(拍手)