安倍首相と翁長知事の満面の笑み

What Is Behind Two Leaders' Perfect Smiles ? ; Prime Minister Abe and Okinawa Governor Onaga

2015年5月27日付け沖縄タイムスより(撮影は25日)

2015年5月27日付け沖縄タイムスより(撮影は25日)

政府と沖縄県の激しい対立が続く辺野古移設問題。翁長知事は厳しい政府批判を続け、最近では「沖縄の民意を一顧だにせず、立ち止まることもせずに(工事を)続けるというのは、自由、平等、人権、民主主義という日本の国のあり方としていかがなものか」(5月26日の記者会見での発言/出所:朝日新聞デジタル)といった言葉に象徴されるように、「日本の民主主義」を問うようなスタイルの政府批判が増えている。

ところが、5月27日付けの沖縄タイムス(沖縄タイムス+)に掲載された記事を見ると、激しく対立するリーダー同士とはとても思えないような曇りのない笑顔の二人が並んで写真に収まっている。翁長知事が、ミス沖縄を伴って5月25日に首相官邸を訪れ、安倍首相や菅官房長官にかりゆしウエアを贈呈した時の写真である。知事一行は、6月1日を「かりゆしウエアの日」と定めている沖縄県の観光キャンペーンの一環として首相官邸を訪れたという。

ご両人ともとても素晴らしい笑顔である。彼らの満面の笑みに裏はないのか、とついつい勘ぐりたくもなる。別件での訪問だから「大人の対応」なのだ、と説明する人もいるかもしれないが、どこからどう見ても仲良し同士。辺野古に関わる言動を「民主主義の敵」とまで非難する知事と、非難される宰相のツーショット(正確にはミス沖縄まで入れた3ショット)とは思えない。まるで「和解成立」の笑顔だが、彼らのこの満面の笑みから何を読み取ったらいいのだろう。

蛇足だが、参院では、自民党の提案により、6月1日にかりゆしウエアを着用して本会議に出席できるよう話し合いを進めているという。「沖縄だけ特別視はできない」と反対する民主党のせいで(民主党には沖縄選出議員がいないが、この反対理由はもっともだ)、かりゆし着用は難しいという。もっとも、民主党政権下の2010年6月1日、亀井静香氏を除く全閣僚がかりゆしウエアを着用して閣議に臨んだという記録があるから、参院でのかりゆし着用が実現する可能性も否定はできない。

2010年6月1日の「かりゆし閣議」。首相官邸ウェブサイトより。

2010年6月1日の「かりゆし閣議」。首相官邸ウェブサイトより。

 

 

批評.COM  篠原章
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