翁長県知事 辺野古埋め立て承認取り消し会見(全文書き起こし)

Press Conference of Okinawa Governor Onaga for the Revocation of Reclamation in Henoko

2015年9月14日午前10時から沖縄県庁特別会議室で翁長県知事の記者会見が行われた。以下はその全文の書き起こしである。

メディア各社は、事前に「前知事による埋め立て承認の取り消しを正式に表明する」と報道したが、会見では「取り消しを決断した」という表現はなく、「取り消しの方向で手続きを開始した」と述べるに留めている。「承認取り消しを決断したのか」といった趣旨の記者の質問に対しては、「あらゆる手段を駆使して辺野古新基地を阻止するつもりだが、政府の対応を横目で見ながら最終的に判断する」といった回答を繰り返している。

ところが、沖縄紙を含む主要新聞各紙は、「政府を横目で見ながら」という翁長知事のこの「含み」にほとんど触れていない。「取り消し承認手続きへ」といった見出しは誤りではないが、知事の「含み」の意味するところは、よくいえばフレキシブルに対応したい、悪くいえばダラダラやりたい、自らの責任を問われないかたちでやりたいということだ。「私は決断してませんよ」というエクスキューズを残したまま、「手続きだけはやりますから」といったに等しい。

いつもどおり、沖縄は今も米軍・日本政府に蹂躙されているという「歴史認識」を持ちだして、「魂の飢餓感」(沖縄アイデンティティ)を掲げる翁長知事は、菅官房長官の「歴史認識」を責めるが、沖縄県民が「オール沖縄」として自らのアイデンティティを穢されたと本気で切望しているとは到底思えないし、仮に全県民が、日本国民であることよりも沖縄アイデンティティを尊重したいと考えているなら、もはや「独立」という選択肢しかないはずだ。だが、知事就任以降の翁長氏は独立とはいわない。

当事者であり、正真正銘の地元である辺野古の住民が受け入れている普天間基地の移設を、沖縄県や名護市としてどうしてもダメだというなら、翁長知事は「魂の飢餓感」以外の合理的な根拠を示す必要があるが、翁長知事は「沖縄全体に基地が押しつけられた経緯」を強調するだけで、辺野古住民にとっての基地負担とは何かに触れたことは一度もない。「普天間基地の危険性除去」を理由に、辺野古移設を訴える菅官房長官の姿勢のほうが、まだ合理性があり、合目的的である。翁長氏の主張はすでに神話の領域に入りこみつつあるということだ。

翁長氏が自らの主張を通したいと思うなら、「承認を取り消す」と明言し、「沖縄振興策はもういらない」ということだ。そこまで踏みこまなければ、政府や国民を本気で動かすことはできない。その点は小著『沖縄の不都合な真実』で繰り返し述べているので、これ以上触れないが、のらりくらりと決断を引き延ばし、移設反対を唱えながら、移設を黙認することになりかねない「裁判闘争」に舞台を移して、さらに「のらりくらり」を続けようとする翁長知事の姿勢は、この問題に真摯に取り組もうとする県民や国民を裏切る行為である。

もっといえば、翁長知事は埋立承認取消に関して法廷で争えば国に破れる可能性が高いことを知っている。知事が拠り所とする第三者委員会報告は穴だらけだから、公判での勝ち目は薄い。裁判で負ければ「それでも国のやり方は不当だ」とも「第三者委員会報告が不十分だった」ともいえる。知事自身はつねに抜け道を用意している。

翁長知事は、自らの責任を問われないかたちで裁判に負ける方法を模索する一方で、振興策を引き出す構造は温存しようともしている。「辺野古はダメ、振興策はもういらん」の一言で事態は動くのに、けっしてそういわないのが、その証である。政府も「今以上の実力行使をしない」ことを担保しながら、翁長氏に譲歩するかもしれない。が、その間に辺野古移設は着実に進む。なんのための移設反対かまったくわからない。この書き起こしの終盤部分を読んで頂ければ、知事がいかに勝算のない、精神論(それこそ大和魂ならぬウチナー魂、玉砕魂)だけの闘いを進めているかがはっきりする。翁長知事は、「沖縄県民の基地負担の軽減」などに本当は関心がないのかもしれない。

翁長知事の政治姿勢が、移設を黙認しつつ、振興策を引き出すための政略にすぎないことは、今回の記者会見での態度からも十分うかがえると思うが、その判断は、以下にアップした記者会見全文を読む読者諸兄に委ねたいと思う。

なお、聞き取り元動画は、沖縄タイムス公式動画チャンネル「翁長知事の辺野古埋め立て承認取り消し記者会見(2015年9月14日)録画 」である。

司会
はい、それでは翁長知事の記者会見を始めたいと思います。
まず、知事から発表事項がございます。
よろしくお願いします。

翁長県知事
記者会見ご案内をいたしましたところ、このようにお集まりを頂きまして、感謝申しあげます。これから私の方でコメントを申し上げて、またご質問ご質疑等ございましたら、それに答える形でやって行きたいと思います。
本日、辺野古新基地建設に係る公有水面埋立承認の解消に、取り消しに向けて、事業者への意見聴取の手続きを開始しました。
県は去る7月16日、埋め立て承認の法律的な瑕疵を検証する第三者委員会を検証結果報告を受け、関係部局において内容等を精査してきたところであります。
その結果、承認には取り消し得るべき瑕疵があるものと認められました。国に対する承認の取り消しについては、行政手続法は適用されないと解されますが、今回の不利益処分については、行政手続法の趣旨に鑑み、意見聴取と行うことが適当と判断しました。
そのため、本日付で沖縄防衛局長に意見聴取に係る通知書を発出したところであります。なお、意見聴取日は平成27年9月28日としております。私は今後もあらゆる手法を駆使して、辺野古に新基地は作らせないという公約の実現に向け、全力で取り組む考えであります。
以上であります。

 

司会
それでは質疑に入りたいと思います。まず、県内幹事社からお願いします。

質問者
県内幹事社NHKの島田です。よろしくお願いいたします。
翁長知事は就任以来、承認取り消しの撤回も視野に、あらゆる手段を使って移設計画を阻止するというふうにおっしゃって来ましたけれども、政府との集中協議を経た結果、今回承認取り消しに踏み切るに至った決め手、またこのタイミングで判断した理由についてお願いします。

翁長県知事
8月10日から9月9日まで、集中的に協議をするということで、工事を止めて、そして会議が始まったわけであります。
私はその中で、沖縄県のこんにちまでの置かれている立場、あるいは歴史、あるいはまた県民の心、それから基地の形成されてきた色んな形での状況、あるいはまた沖縄県の振興策のあるべき姿というか、現状というようなものも説明をさせて頂いて、ご理解を得るよう努力をいたしましたけれども、残念ながら5回の集中協議の中で返ってくるそれに対する言葉は、ほとんど少なくて、残念ながら私の意見を聞いて、その考えを取り入れようというようなものは見えてこなかったような感じがいたします。
ですから、そういう状況の中で、最終日の集中協議の中で、私の方で工事を再開するんですか、ということを申し上げましたら、そのつもりです、という話がありましたので、その時点で、まずは取り消しの決意は固めたところでございます。
なぜこの時期かということでありますけれども、事務的な調整を含め、しれから相手があることでございますから、そういうことを見ながら、1日2日ということではないと思いましたので、今日のこの日を設定をさせて頂いて、今日こういう形でご報告させて貰っているところであります。

質問者
知事としては、政府との間で話し合いではもう移設計画を止めることができないと判断したということでしょうか。

翁長県知事
4回目の時に、菅官房長官と話をしたときに、私のいろんな歴史、県民の心の話をさせてもらったのですが、「それについての考えはございませんか」と申し上げたんですが、その時に何とおっしゃったかと申しますと、「私は戦後生まれでなかなかそういうことがわかりにくい」と。
そんな中で橋本モンデール会談がベースであるということ、それから梶山先生の「思いは一緒」といか何か考えるところがあったので、そういうのは持っているつもりでしたが、やはり原点は、そういうことです、という中にですね、私が言葉を尽くしても、聞く耳を持たないのか、本当にそういう感受性を持たないのか、分析のしようもありませんけれども、いずれにしろご理解が頂けないということだけは、4回目のときにも感じた次第です。

質問者
もう一点ですけれども、ボウリング調査が終わり次第、政府側は埋め立て工事の着工を始めると思います。この着工前にというを意識されてこのタイミングでもあるのか、ということと、それからこの取り消しを着工前に行って、埋め立てへの着工を止めることができるとお考えなのかどうかをお願いします。

翁長県知事
私はずっとですね、今日まで申してきたのは、いろんな時点時点で県民の声もありましたし、識者の声もございましたし、私は横目で工事の進行状況、あるいは政府の言動、出方をこういうことを睨みながら、あらゆる手段を駆使して阻止したいとずっと申し上げて参りました。
そういう中で、一昨日に着工を開始したということでありますので、それまでは数日間のやはり相手のいることでありますから、そういったものの配慮とか色んなことも考えましたが、一昨日で着工いたしましたので、そういう意味からいうと「週明けにはやります」ということをその日に申し上げたのは、今日の日を選んだのは、事前に皆さん方に示したわけでございます

質問者
埋め立て工事を今回の取り消しによって、止められるとお考えかどうかを。

翁長県知事
私はありとあらゆる手段を講じて、辺野古に基地を作らせないというそういった意味での第一歩であります。これはまた当然のことながら相手がある事でありますので、どういう形で物事が進んで行くかは今見えません。見えませんので、今は私たちからすると、法律的な瑕疵があると、故に取り消しをする方向で手続きを開始したいと、そういうところでございます。

質問者
県外幹事社の朝日新聞の上遠野です。
私から一点ですけれども、先の話ということでしたら、今後取り消しがなされた場合に国側もなんらかの対抗措置を取ってくることが考えられると思うんですけど、法廷闘争も含めて、この先の見通しをどのように考えているのか。
仮に法廷闘争になった場合に、勝算があると考えられているのか、と。その辺のところをお聞かせください。

翁長県知事
今後のそういった法律的な展開のことがありますので、今日は、こんにちまでそういう意味合いでご相談をして参りました竹下弁護士を初め、担当の弁護士の皆さん方がお出でであります。
今の法律的な問題については、竹下先生にお願いをしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

竹下弁護士
今、取り消しに向けての意見聴取を始めたばかりの話なので、その先の事についてとやかく言うのが適当かどうはかともかくとして、取り消ししたあとで国がどういう方法を取って来るかという事については、それはそれなりに検討して、それに対する県側の主張等は現段階で一応のまとめはしております。
ただこれからどういう方向で来られるのかというのは、国がどういう対抗策を持って来るのかということに関わってくる問題ですので、今この場ですべてお話しするというのは控えさせてください。

司会
その他の社さんに移りたいと思います、挙手をお願いします。

質問者
共同通信の福田といいます。
先ほどの法廷闘争の話なんですけれども、国と県の間で法的措置が応酬されるような状況についての、今後予想されることについての受け止めというか、印象というか、残念であるとか、悲しいことであるとか、印象論だけでもコメント頂きたいのですが。

翁長県知事
1か月間の議論が、私としては意を尽くしたつもりでありますが、議論にならなかったというようなことを受けての工事の再開でありますので、その意味では「残念至極」と。1か月間で、沖縄県民に寄り添うとか、県民の考え方を聞きたいとかいう話も事前にはあったんですけれども、そういったこと等がほとんど感じられなかったという中での工事の再開でありますので、やはり私からすると、今日までの沖縄の置かれてきた歴史を含め、いきさつ、あるいは現状等ふまえると、日本という国が本当にどうなんだろうかという感じをいたしております。
ですから私は、5回目の会議の中で、安倍総理にはこのような話をさせて貰いました。
私たちがアメリカに行ってワシントンDCに行っても、話は聞いてくれても、最後は「国内問題だから日本政府に言いなさい」ということになります。そして日本政府の方に申し上げると、「アメリカが嫌だと言っている」と。こういうものが過去の歴史で何回もありました
私はそれを紹介した後に、沖縄が米軍の施政権下に置かれている時に、「沖縄の自治は神話である」と話を高等弁務官から言われたわけですが、「日本の独立は神話である」と言われないようにして下さい、ということを総理に申し上げたわけであります。

質問者
関連してですが、実際に取り消す時期については、意見聴取の期間が大体の3週間から1か月程度と言われてますけれども、知事の見通しとしては、大体どれくらいをお考えでしょうか。

翁長県知事
これも竹下弁護士にお願いしたいと思います。

竹下弁護士
弁護士の竹下です。今記者さんが仰った通りで、意見聴取手続きにはそれなりの期間が必要だと考えておりますので、もちろん国の方がこの意見聴取手続きに対してどのように応じて来るかということによって対応が変わって来るかと思いますけれども、常識的には3週間から1か月くらいを考えております。

質問者
沖縄タイムスの吉田と申します。2点伺います。
1点目なんですけれども、都道府県知事が国の事業を取り消すというのは極めて異例なことだと思います。知事は国連での演説も予定されてますが、これも都道府県知事がやることとしては極めて異例だと思います。逆に言うと、知事がここまでせざるを得ない状況になってしまっている沖縄と日本との構造的な問題がどこにあるかということについて、言及して頂けますか。

翁長県知事
ですから私は1か月間の協議の中でも、沖縄の置かれている歴史等々、説明をさせて頂きました。置かれている歴史の中で、戦後の70年があったわけでありまして、その中の27年間という特別な時間もございました。そして復帰をしても、基地が、0.6%に74%というようなことも全く動かないような形で来ておりまして、むしろ1950年代で海兵隊がアメリカ本国から日本の本土の方に行ったものが、沖縄に配置をされて沖縄の海兵隊がいわゆる75%を占めるようになっているわけです。
こういったこと等をいくら話をしても、原点を含め、日本全体で日本の安全保障を考えるという気概も何もないという、こういったこと等の中で沖縄が置かれている立場というものをどのように訴えても、このような形になって参ります。
そうしますと、私は、「魂の飢餓感」という言葉も使わせてもらったんですが、それがご理解を頂けないというようなものと同時に、こういったひとつひとつの政策というのはおそらく一緒になっているんだろうと、またアメリカも当事者じゃないというような話をしておりますけれども、まさしく当事者にならざるを得ないということを含めて、私はこのことを取り消しをし、また国連の方でも人権委員会で、その状況をお話をし、本当に自由と平等と人権と民主主義というようなものの価値観をを共有する国と連帯をして、世界を平和に導きたいという日米安保体制というものが、自国の国民にさえ自由、平等、人権、あるいは民主主義というものを保障出来ないのに、何故ほかの国々とそれが共有出来るのかということも含めて、これは海外にも発するべきだろうなぁ、とそういう気持ちでございます。

質問者
すみません、もう1点良いでしょうか。
今お話しして下さったことと、少し重複するかもしれませんが、19日に出発して国連で演説なさるということで、今日の取り消しの表明を含めて、国連で訴えたいと考えている概要を紹介して頂ければと思います。

翁長県知事
まだ詰めていない段階でありますので、今申し上げたことの内容が主になると思いますが、今、それに向けて調整中です。

質問者
琉球新報の島袋と申します。おはようございます。
この文書(沖縄防衛局長に対して発出された意見聴取に係る通知書)の中で、「意見聴取については同法(行政手続法)の適用はありませんが、趣旨に沿って考えると貴殿の意見(聴取)が適当」と書いているのですが、これに関連して聴聞に3週間から1か月かかるという日程の中で、国は本体工事に着手するということも選択肢として出て来ると思うんですが、その際に知事の認識としては意見聴取が終わらないと取り消しの決断を出さないということなのか、この文言でいうと「同法の適用はない」ということなので、これとは別個に工事の進捗の状況を見ながら取消の決断を判断することはあり得るのか、そこのところを聞かせて頂きたいのですが。

翁長県知事
今日までもそうでありましたが、横目で政府の出方も睨みながら判断をしていくというか、話をさせて貰いました。
ですから今の件につきましても予測不能と。これからの出来事でございますので、それを見ながらということになりますが、法律的な意味からいうとやっぱりまた(弁護士の)竹下先生にその辺の話をして頂いて、こういうことが、私が「横目で睨む」というようなことがどの時点でそのようになっていくかということは、その都度判断をしていきたいというように思っております。

質問者
TBSの金平と申します。
2年前の12月に前任者の仲井眞知事が、同じ知事の立場で埋め立てを承認されたということですよね。今の時点で、前任者の仲井眞さんに何をおっしゃりたいですか。

翁長県知事
あの承認によって今日の事態が生じているわけでありますから、今思い返しても、大変残念であり、無念な出来事であったと思っております。
やっぱり沖縄県民の心というものが、昨年の一連の名護市長選挙、知事選挙、4区にわたる衆議院選挙、全部、新辺野古は作らさないというところで圧勝したことも考えますと、あの承認が今、官邸の錦の御旗になっているというようなことを思うと、胸が掻き毟られるような気持ちでございますけれども、同じウチナーンチューがやることでございますので、これに対しての、一緒になっての反省の中から私たちはまた強くこれからの沖縄の未来を背負う子や孫に責任を問われるような、また故郷としてもって誇りに思えるような、そしてしっかりとそこに地に足を立てて、故郷を思い、また万国津梁の精神の亜細亜、世界の架け橋となって、将来の子や孫がやって行けるような、そういったものをこれからの一連の作業の中で取り戻して行きたいと思っております。

質問者
読売新聞の坂田と申します。
普天間飛行場の周りで暮らす宜野湾市民の間からは、2022年度には普天間が返ってくる、遅くとも2年後には返ってくるんじゃないかという期待感があります。一方で翁長知事の今回の決断というのは、政府との合意に基づく返還の道を閉ざすことになりますけれども、移設が進まなくなる事を残念に感じる市民や県民に対して、県知事としてどのように理解を求めていくか、そのお考えをまず聞かせて頂けますか。

翁長県知事
今のご質問はまさしく、菅官房長官との原点の違いなんですね。
モンデール橋本会談、これが原点であると話しております。普天間の危険性の除去ですね。私が戦後の強制接収で沖縄の基地は全て奪われていった、自ら差しだした基地は無いんだというようなものが原点であるというようなことは、普天間の危険性の除去という意味では一緒であるけれども、自ら奪われて、また基地のその代替地として沖縄側が用意しろと、代替案はあるのかと、そこしかないんだと、そういった話というのは私の言う沖縄の戦後の原点の話がかみ合わなかったということになります。
ですから沖縄県民も、この原点というのは持っていると思うので、ですから知事選挙でも、宜野湾市の票が私の方が3000票多かった。それから衆議院選挙でも6000票多かったと。
宜野湾市民からすると、この基地の固定化というのは本当にやめてもらいたいという気持ちであろうと思うんですけれども、なおかつ私たちに勝利をさせたというのは、それを沖縄県民が同じように受け入れるというようなことは、これはまた本当に苦しくて出来ないというあらわれだったと思うんですね。
ですから、その部分については県民は理解をして頂けると思いますし、なおかつ新辺野古基地が出来ない事が、あの世界一危険だと言われている普天間基地を本当に固定化出来るのかということを、私は総理にも会議の時に申し上げましたが、返事はありませんでした。
本当に辺野古基地が出来なかった場合に、普天間を固定化出来るのかというと、政府からまだ言葉を頂戴しておりません。その辺のところを、あの普天間基地を20年も30年もやるかどうかということについても、その意味では僕は日本の政治の堕落だというふうに思っているので、その辺のところは国民に判断して頂きたいというふうに思っております。

質問者
関連質問なんですけれども、今のお考えを踏まえたうえで、知事として負担軽減にはどのように取り組んでいかれたいか、その所感を聞かせて頂けますか。

翁長県知事
前知事が承認に踏み込んだ時に、4項目の要請があったんですね。
その中で一番大事なものが、普天間の5年以内の運用停止、これが一番大きかったと思います。
で、去年の11月に私が当選をして、去年の2月が起点でありますから、その2月から10月までに、仲井眞さんが選挙で勝ったかもしれませんので、その10か月の間に何をされたかということを検証する必要があると思うんですね。
その間はアメリカの高官から発せられる言葉は、「そんなことは日本政府から聞いたこともない、私たちも考えていない」という言葉が発せられたんです。
ですから、その意味では、前知事が、総理と官房長官が保証したことが担保であるという話をして承認に踏み切ったわけでありますけれども、私が戦後の沖縄の基地問題の中で、いろんな壁があるときに、基地の解決あるいは振興策等々、大変いい話をしてその壁を乗り越えたらまた元通りというのを何十回も経験して来ていますから、私はこれを「話クワッチー(話のご馳走)」、それを難しい課題が見えて来たときには必ずそういう話をして、それを乗り越えたあと知らんふりをするというのがこれまでの流れです。
ですから日本の政治というものが、本当に安全保障のようなものをしっかり考える中で動いてきたかということになりますと、あるいは日本を取り戻す中で動いてきたかというと、今日に至るまでも、まだそれは出来ていないというふうに思っております。

司会
時間がございますので、最後の2問とさせて頂きます。

質問者
沖縄テレビの普天間です。
知事は何度も「あらゆる手段を講じて」あるいは「政府の出方、工事の進捗を見ながら」という話をされていますけれども、まずこの意見聴取の手続きが3週間から1か月かかるという中で、沖縄防衛局は埋め立て工事本体、着工工事に向けた事前協議の手続きも再開しようとしています。
沖縄県として、翁長知事として、この埋め立て承認というカード、最大のカードとは別に、この事前協議を通して埋め立て工事を止めていく、あるいは県の潜水調査を踏まえて岩礁破砕に関する手続きで工事を止めていくというような手法も考えていらっしゃるでしょうか。

翁長県知事
横目で見ていくからこそ、今の質問には直接は答えられないわけでございますけれども。私が去年の12月に当選をして官邸の方とお会いしようとしても全く会ってもらえませんでした。
色々周辺から意見がございましたが、私があのときずっといって来たのは、今のあるがままを見て県民も国民も考えて貰いたいというようなことを、私はずっと3月まで言い続けてきたわけであります。
ですから、これからの政府の出方、防衛局の出方、こういったものもある種の暴力でもってそれを止めるという事は、あるわけがないのでございますから、いずれにせよ権力としての法律を含め、工事の再開に向けてどういうふうにしていくかわかりませんが、これもあるがままを全国民に県民に見てもらうと。そして今回はそれを世界の人に見て貰いたいという気持ちで私は国連の人権委員会も出ていくわけでございますし、ワシントンDCにも行って話をさして頂きました。
ですからこの状況は、全ての人が見る中で民主主義国・日本、民主主義国・アメリカとして本当にこの状況がみんなの理解が得られるのかどうか、あるがままを見るということも、私は日本の政治のあり方を問うという意味でも、これは大切なことではないかなというふうに思っております。

質問者
NHKのナカムラです。
一番知りたいことで、まだ知事の口からお聞きしてないので聞きたいと思います。埋め立て承認の取り消しに対して、国がさまざまな対抗措置を用意していることが考えられるんですけれども、実際に辺野古での工事を止めることが出来るのかということについて、知事がどういった認識を持っているのかについてお願いします。

翁長県知事
私は今日までも辺野古に新基地は作らさない、作れないといってます。この二つの話をさせて頂きながら、今日まで来ておりますので、この新辺野古基地が出来ないことの責任は日本政府、そしてアメリカ政府にもあるというようなものであります。
あるいは出来ますと、ご承知だと思いますが、国有地に変わります。私たちは今日まで自ら差し出した基地はないということを話をしながら来て、それがいわゆる沖縄にある全基地の7割方を民間の人や行政が持っているからこそ、今私たちはそういったものをですね、沖縄のあるべき姿を問うことが出来るわけです。
ところがそこを160ヘクタール埋め立てましたら、これは全部国有地になってしまって、100年間も200年間も今の政府の姿勢が変わらなければ、まさしく沖縄は基地の要塞としてこれからもどういう形であっても、受けざるを得なくなって来る。
こういったことを含めますと、今までの銃剣とブルドーザーで基地を接収したこともありますが、まさしく今回は海上での銃剣とブルドーザーで私は基地を作っていくと、それも日本政府からやっていくということになりますと、これはやはり安保体制、今安保法制も議論をされているわけですけれども、本当の意味での日本のあるべき姿というものは、この辺りからも見えてくるのではないかなと大変危惧をしているところであります。

質問者
埋め立て承認によって、工事を止めることが出来るかどうかという事についての知事の認識をお願いします。

翁長県知事
これはまさしく法律的な問題で、こんなものが、法律的なものを判断をするというようなことが現時点で言及するというようなことについては、これはやっぱり差し控えたいと思います。

質問者
まだそんなに楽観できる状態ではないという認識を持ってらっしゃるということですか。

翁長県知事
楽観も悲観も、そういうことも今全く白紙の中で、沖縄のあるべき姿、日本のあるべき姿、この問題を通じて国民に問いたい、世界に問いたいということです。

司会
はい、記者会見を終わります。ありがとうございます。

質問者
一部で、県民投票という話もあるということでしたが、そういう可能性は実際にございますか。

翁長県知事
あの、色んな方が色んな提言をするのでね、少なくとも私から発想したことではまったくありませんので。
ただ色んな方々が色んな話をされているということについて、私がどうだああだというわけにはいきませんので。

質問者
今後選択肢としてあり得るんですか。

翁長県知事
そういう断定的なものについては、全ての分野において言いませんね。この件は私が発想したことではございません。

司会
知事コメントを廊下の方で配るそうなので、必要な方は取ってくださーい。
はい、ありがとうございました。

翁長県知事
どうも、イッペーニフェーデービル

 

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批評.COM  篠原章
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