軟弱地盤問題:衆院予算委員会での岩屋防衛相の発言(書き起こし)

辺野古の軟弱地盤問題に関連して、2019年2月28日の衆院予算委員会における岩屋毅防衛大臣の発言(質問者:赤嶺政賢議員/日本共産党・沖縄1区選出)を書き起こしておきます。

岩屋防衛相は、軟弱地盤は「最深90メートル」と認めながら、その最深部20メートルは比較的固い粘土層であり、海上から70メートル部分までの工事で十分な安定性を確保できる、としています。

ただ、最新のボーリング調査の結果に基づくデータは公表されておらず、国政野党からは「資料を提出せよ」と要求されています。この要求はもっともなもので、審査中であっても国民・県民に対する説明責任は果たすべきでしょう。工期・経費についても現段階での概算数値を示す必要があります。

客観的なデータや情報の誠実な開示こそ、今の政府に求められる姿勢です。

なお、岩屋大臣の3月1日の記者会見にもこの質疑に関係した発言があります。この会見については防衛相のホームページを参照してください。「90メートル」を事実上「70メートル」に訂正したような印象が強く、時事通信はこれを「修正した」として報じています

岩屋防衛大臣:
地盤改良の深さは具体的な設計を踏まえまして、構造物の安定性を確保するのに必要な深度まで施工するものでございます。
サンドコンパクションパイル工法等による地盤改良の深さは、必ずしも十分に硬く安定した土層に達するまで施工しなくても、構造物等の安定性を確保し得るものと承知しております。
それから、これまで審査請求中でございますので、詳細については公表を控えると申し上げて参りました。その考えに変わりはありませんが、現在沖縄県が私どもの報告書に対する意見書を出されて、ホームページで公表しておられて、(議員の)先生方もそれを根拠に質問をされているということで、状況が少し変わりましたので、お話しできることをお話しさせて頂きたいと思います。
キャンプ・シュワブの北側海域における護岸等の安定性等に係る検討内容について申し上げますと、地盤の検討に必要なボーリング調査の結果を踏まえまして、キャンプ・シュワブの北側海域における護岸等の構造物の安定性等について技術的に検討いたしました結果、サンドコンパクションパイル及びサンドドレーンを約7万7000本、最大施工深度は水面下約70メートル、改良面積は約73万平方メートルで、施工することで安定性を確保することが可能である、という風に確認をいたしております。
また、70メートルの施工が出来る船は3隻ございますが、70メートルまで施工する物は全体のうち数パーセント程度でございまして、全体の約7割は水面下40メートル未満の地盤改良工事によって所要の安定性が確保できることが確認をされております。

赤嶺政賢:
「90メートルあることは認めるか?」

岩屋防衛大臣:
深度は最大のところで90メートルあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、構造物等の安定性を確保するために必要な深度は70メートルでして、その下にかなり固い粘土層があるということが、地盤工学会が発行している出版物に記載の分類に寄りますと、「非常に硬い粘土層」に分類される強度を有しているということが確認をされておりますので、最大でも70メートルのサンドコンパクションパイル工法等で施工が可能であり、安定性が確保できると、しかも70メートルまで施工するのは全体の数パーセントに留まるというふうに確認をしているところでございます。

赤嶺政賢:

「つまり、日本国内所有の地盤改良の作業船が70メートルまでが3隻で、つまり90メートルある辺野古では届かない。20メートル分やらなくて良いというが、地盤沈下が起こると思うが起こらないという根拠は?」
 
岩屋防衛大臣:
先ほど来、申し上げている通り、もっとも深い深度で90メートル程度まで分布をしている部分がございますけれども、水面下70メートルを超える深度では、「非常に硬い粘土層」に分類される強度を有していることから、70メートルの施工であっても十分に安定性を確保できると確認をしているところでございます。
また、サンドコンパクションパイル工法は50年以上前から実施されている一般的な工法でございまして、国内にも東京国際空港、関西国際空港、それぞれ25万本、関西は103万本、関西国際空港第二期工事は120万本の実績がある工法でございますから、十分に安定性を確保することが出来ると考えております。
 
赤嶺政賢:
「今までサンドコンパクション工法で海上に空港などを作った際には、地盤沈下が起こって行く、それを是正するために日本の土木技術が開発した工法である。けれども70mまでしか施工できない。確認したいが大浦湾では90メートルまで軟弱地盤はあるんですよね?それをイエスかノーかで答えてほしい」
 
岩屋防衛大臣:
先ほどから申し上げておりますが、70メートルまで施工しなければいけないということは、90メートルくらいまであるということですが、その割合は全部の施工面積の数パーセントに留まるということでございます。
 
赤嶺政賢: 
「先ほど意見書を沖縄県がホームページにアップしていると大臣から話があったが、沖縄県は防衛省が出した「地盤に係る設計施工の検討結果の報告書」の反論を出した。何でこれを公開しないのか。大臣の一問一答ではなくこの報告書を出して全体を明らかにすべきではないか」
 
岩屋防衛大臣:
これも再三申し上げております通り、先ほども申し上げましたが、私どもは沖縄県が出した「埋立撤回の処分を取り消して頂きたい」という審査請求を今国交省宛に出しております。審査を受けている最中でございますし、まさに地盤のことも審査の対象になっているかと思いますので、全貌を明らかにすることは控えさせて頂きたい。今日はお話できるところを申し上げさせて頂いた次第であります。
 
赤嶺政賢:
「全貌を出して国民の前で議論すべき。地盤工学の日本大学鎌尾准教授は『水深90メートルまでの地盤改良工事は知る限り例がない。20メートルの未改良部分が残ると長期間渡る地盤沈下が発生するだろう』このように述べています。つまり防衛大臣の今の答弁でいうと「沈み続ける基地を作る」ということであります。
 
 
 
 
批評.COM  篠原章
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