再びヤンバルクイナに出遭う

別に自慢するほどのことじゃないんですが、2011年の4月16日にヤンバルクイナの撮影に成功(ヤンバルクイナと出逢う)して以来、なんだかヤンバルクイナのお友だちになったような気がしていたのです。ですから、もう一度同じ場所にいけば、また「ヤンバルクイナに逢える」という確信のようなものはあったわけ。何の根拠もないけど(笑)。

で、先週、沖縄に縁のなかった友人たちの求めに応じてちょっとした沖縄団体旅行を組んだのですが、ご要望にしたがって「ヤンバルクイナ発見ツアー」も決行してしまいました。

前回もそうですが、今回も何の準備もありません。よくいえば気負いなく(笑)山原へ向かったんですね。そもそもぼくにはナチュラリスト的要素が何もないんです。アウトドアっぽい装束もまったく持ってないし。むろん超能力もなし。

前回は山原をたまたまドライブ中に、「あっ。ヤンバ ルクイナを見つけてみようかな」と急に思い立ち、現地で携帯を使ってヤンバルクイナの特徴ある鳴き声をダウンロード、それを森の中で流してみたら、なんとあちこちから「返事」が返ってきたのです。「うゎっ、ヤンバルクイナってホントにいるんだ」とびっくりして、周辺を一時間ぐらいうろうろしているうちに偶然見つけたんです。

今回は大体の場所はわかっているから、ひたすらそこを目指せばいい。特殊なお道具の持参もありません。

まず驚いたのは、この2年間で、道路事情が変わっていたという点。前回あったはずの広い路側帯(国頭村)が見つからなかったのです。ヤンバルクイナの発見地点だった路側帯です。よく観察したら、くねくねと曲線状になっていた県道70号線を直線化する工事があちこちで行われていたのですね。これによって、もともとあった道路が消滅してしまったんです。正確には消滅したんじゃなくて「旧道化」して森の中に埋もれるように存在はしているんですが、注意深く探さないと、その旧道が見つからないんです。

これに輪をかけたのが、昨年、一昨年の大型台風。強風のおかげで森の中は倒木だらけです。環境保全的に、こうした倒木を片づけたりしていいのかどうかは知りませんが、山原の森がとても荒れ果てた状態に見えることはたしか。たぶん、ああした倒木は人間の手で処理すべきなんじゃないかと思います。倒木によって、森が“やさぐれて”見える。どうなんでしょうかねえ。役所や専門家の方のご意見をうかがいたいところです。

そもそも「直線化工事」といったって、森をあらたに破壊して新しい道路を造るわけですから、ヤンバルクイナにしてみれば生息域の減少や悪化につながります。もういい加減、そんな工事はやめてもらいたい気持ちです。

どうにかこうにか2年前のポイントを見つけだして、 ゆっくり車を走らせていると、道路上から路肩の茂みに隠れようとする生き物の姿が見えました。鳩やカラスではありません。嘴が赤いところからみてヤンバルクイナです。あわてて路肩に車を止めて、静かに観察していると、再び茂みから道路上に姿を現しました。こちらの気配に気づいて隠れるのですが、静かにしていると顔を出します。何度かそのやりとりをつづけるうちに、同行者全員がヤンバルクイナをカメラに収めることができました。めでたしめでたしです。

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批評.COM  篠原章
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