『風街オデッセイ 2021』レビュー Vol. 2(全4回)

風街ばんどと大瀧詠一

鈴木茂+林立夫(SKYEマイナス2)、はっぴいえんど(サポート:鈴木慶一、井上鑑、吉川忠英、曽我部恵一。曽我部は単独で「夏色の想い出」も歌った)については、今夜(第二夜 11月6日)も出演するので後ほどレビューするが、松本イベントを支える匠の集団・風街ばんどの活躍にはやはり触れておきたい。

井上鑑が率いる風街バンドは、大瀧の直弟子である山下達郎と伊藤銀次を除けば大瀧最大の「後継者」といえる。彼らがこの日披露した自己紹介ミュージック(井上鑑作編曲と思われる)は、インスト版ナイアガラ・メドレー(「FUNXFUNXFUN」と「恋するカレン」のモチーフをつなげたもの)といってもよく、井上鑑などの大瀧へのリスペクトを強烈に感じさせる。それは、ぼくたちのような大瀧ファンが抱く大瀧観と完璧に重なっているのだ。大瀧ファンにとっての風街ばんどは、松本イベントの「縁の下の力持ち」であると同時にこのイベントの「華」であるといってもいい。今夜も彼らに会えるのがとても楽しみだ。

風街ばんど:

井上鑑(音楽監督・Keyboards)

中西康晴(Keyboards)土方隆行(Guitar)今剛(Guitar)吉川忠英(A.Guitar)髙水健司(Bass)山木秀夫(Drums)三沢またろう(Percussion)高尾直樹(Chorus)佐々木久美(Chorus)藤田真由美(Chorus)

中野勇介(Trumpet)村田陽一(Trombone)竹野昌邦(Saxophone)

金原千恵子(Violin)栄田嘉彦(Violin)古川原裕仁(Viola)笠原あやの(Cello)

さて、そろそろ出かけるか。今夜の個人的な関心事は、吉田美奈子が何をどう歌うか、小坂忠と伊藤銀次の役割は何か、ミッツ・マングローブ、ギャランティーク和恵、メイリー・ムーの3人からなる「星屑スキャット」は何を歌うか、である昨夜の『風街オデッセイ2021』(松本 隆 作詞活動50周年記念プロジェクト/日本武道館)の初日は予想以上に濃厚だった。

11月5日のセットリスト

《第一夜》2021年11月5日(金)18時〜21時(約3時間)
M-1. 砂の女/鈴木 茂 w/林 立夫
M-2. 微熱少年/鈴木 茂 w/林 立夫
M-3. 夏色のおもいで/曽我部恵一(チューリップ)
M-4. 想い出の散歩道/アグネス・チャン
M-5. ポケットいっぱいの秘密/アグネス・チャン
M-6. 雨だれ/太田裕美
M-7. 木綿のハンカチーフ/太田裕美
M-8. 三枚の写真/森口博子(三木聖子)
M-9. リップスティック/森口博子(桜田淳子)
M-10. シンプル・ラブ/大橋純子
M-11. ペイパー・ムーン/大橋純子
M-12. タイム・トラベル/佐藤竹善(SING LIKE TALKING)(原田真二)
M-13. セクシャルバイオレットNo.1/B’z w/亀田誠治(桑名正博)
M-14. ルビーの指環/横山 剣 w/亀田誠治(寺尾 聰)
M-15. 君は天然色/川崎鷹也 w/亀田誠治(大滝詠一)
M-16. Romanticが止まらない/C-C-B
M-17. Lucky Chanceをもう一度/C-C-B
M-18. ハイスクールララバイ/イモ欽トリオ
M-19. 赤道小町ドキッ/山下久美子
M-20. 誘惑光線・クラッ!/早見 優
M-21. 夢色のスプーン/武藤彩未(飯島真理)
M-22. 風の谷のナウシカ/安田成美
M-23. Woman“Wの悲劇”より/鈴木瑛美子(薬師丸ひろ子)
M-24. 瞳はダイアモンド/鈴木瑛美子(松田聖子)
M-25. バンドメンバー紹介曲
M-26. 初戀/斉藤由貴
M-27. 卒業/斉藤由貴
M-28. さらばシベリア鉄道/太田裕美
M-29. 花いちもんめ/はっぴいえんど w/鈴木慶一
M-30. 12月の雨の日/はっぴいえんど w/鈴木慶一、曽我部恵一
M-31. 風をあつめて/はっぴいえんど w/鈴木慶一

※セットリストは松本隆作詞家活動50周年記念オフィシャル・プロジェクト 風街オデッセイ ホームページより

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批評.COM  篠原章
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