沖縄ロック史に刻まれるThe Waltzの功績—結成37周年に寄せて
2月10日金曜日は沖縄の老舗ロックバンド“THE WALTZ“の37周年記念ライブだった(@沖縄市民会館大ホール)。
50代から60代のおっさん、おばさんが興奮して歌を口ずさみ踊り狂うようなロックバンドはそうそうない。とくに沖縄では稀もいいところだ。驚くべきバンドだなあと思う。
沖縄は本土とは異なるロック史を歩んだが、The Waltzは米英のロックやリズム&ブルースだけでなく、筒美京平も阿久悠も松本隆も細野晴臣も大滝詠一も藤井フミヤもユーミンもみな背負い込んで、自覚的にオリジナルのロックンロールをつくり、歌ってきた。モンパチやオレンジレンジなど、後代の沖縄のロックはみなThe Waltzの敷いたレールの上を走ってきたと思う。パンクやニューウェイブの影響はわずかだった。
The Waltzのリーダー、ローリーは昨年亡くなった普久原恒勇の長男である。父が偉大だったため、息子は霞みがちだが、ほくはローリーが沖縄の音楽史に残した功績は、恒勇さんに匹敵するほど大きなものだったと思っている。沖縄で日本語のロック、あるいはオリジナルのロックを確立したのは、ローリーとThe Waltzにほかならない。この点は強調したいところだ。
ちなみに、クレージーケンバンドやエゴラッピンが得意とするビバップ風ミクスチャーは、The Waltzに先取りされている。The Waltzは、1990年前後にはこれに取り組んで成功させていた。そこだけとっても、The Waltzは第一級のバンドだと思う。
批評.COM 篠原章