松本隆作詞家活動40周年記念コンサート

matsumototakashi

篠原にとっては、はっぴいえんどのファースト(通称・ゆでめん)で衝撃を受けてからちょうど40年。30周年記念イベント同様、大学2年以来の友人である川勝(正幸)君のプロデュースでした。

その川勝君にご招待いただいた上、某誌より「松本隆論」の原稿依頼もあったので、出張先の福岡からオーチャードホールへ直行。

記念アルバム『松本隆に捧ぐ~風街DNA』(ジャケット写真参照)のリリースもあり、青山テルマ、持田香織(EVERY LITTLE THING)を始めとする豪華出演陣。

篠原にとっての目玉は、昨年2月の不幸な事件からしばらく一線を退いていた鈴木茂さん(exはっぴいえんど!)のステージ。DR.KYON率いる“エイプリルフール・ブルースバンド”をバックに見事なパフォーマンス。「花いちもんめ」「砂の女」の2曲。ああん、素晴らしい。天才ギタリストの復活。KYON以下エイプリルフール・ブルースバンド”の愛情あるバックアップにも感動。よかったよかった。

その“エイプリルフール・ブルースバンド”は開演直後のM1でいきなり「母なる大地」三部作のカバー。松本隆がはっぴいえんど以前に参加していたロックバ ンドであるエイプリル・フールの作品。松本隆の処女作といっていいでしょう。はっぴいえんどの一連の作品と同じく、最初のCD化には篠原が関わっていたので(ライナーノーツも書きました)、ちょっと嬉しい出来事でありました。が、聴衆の大半はあっけにとられておりました。

『松本隆に捧ぐ~風街DNA』にも収録された持田香織の「空いろのくれよん」も秀逸。大滝詠一がはっぴいえんど時代に残した傑作3拍子。コスチュームはずばり。

今年1月に『雨の色風の色』という松本隆トリビュートアルバムをリリースしたオトナモードはとってもやわらかいバンド。松本隆=細野晴臣の「風の谷のナウシカ」と彼らの楽曲 である「雨色」の2曲。ガラス細工のようにデリケートな、今にも壊れそうなアコースティック・サウンドが心地よし。

秦 基博(+冨田ラボ)は彼らの楽曲「パラレル」とクレヨンしんちゃんの映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル』(2000年)の主題歌「さよならありがとう」(オリジナル歌唱は小林幸子)。松本隆にはアニソンけっこうたくさんあるのです。秦はオフィスオーガスタ。相変わらずよい歌手を揃えてますね。

斉藤由貴はデビューシングルの「卒業」(筒美京平)。武部聡志がピアノを担当。編曲家・武部にとっても出世作だったとのこと。ちなみに武部とは高校の同級生で、高校時代はブルースバリエーションというロックなバンドを結成していて、「はいからはくち」もカバーしてました(笑)。斉藤由貴は「初戀」(筒美京平)も歌ってましたが、作詞家・松本隆とくれば、こうした(元)アイドルが花を添えないとね。

太田裕美は当然のことながら「木綿のハンカチーフ」(筒美京平)「さらばシベリア鉄道」(大瀧詠一)。いつまでたってもいい曲です。無礼講だからと前置きして、「私は松本隆さんに感謝しています。松本隆さんは私に感謝しているはずです」とのMCあり。うーん。

青山テルマは「CANDY」(原田真二)をパワフルに歌唱。なんだかやたらと懐かしかった。

他に当代随一とされるピアニストの横山幸雄、ミュージカル俳優の井上芳雄、ソプラノの小林沙羅といったクラシック畑の方々も出演。

ちょっぴり衝撃的だったのはクミコ。シャンソン歌手としては有名な方ですが、松本隆との接点は今回初めて知りました。彼女も素晴らしくハートのある歌手でした。

松本隆本人による詩の朗読もありました。横山幸雄さんが得意のショパンでBGM。「ドラムを免除されて助かった」とのコメントも。

終演後、簡単な打ち上げパーティ。松本隆さん、鈴木茂さんとも久々にお話しました。武部とは数年ぶり。元気でした。KYONとは初めて話しましたが、やっぱり素晴らしいミュージシャンでした。斉藤由貴さんは近くから拝見。綺麗な方でした。

こういう機会をいただき、川勝君に感謝。

このコンサートを受けて、6月中には松本隆論を発表する予定。あまり紙数がないので、あくまで序論・概論となりますが、今まであまり大声でいわなかったことを書くつもりです。

批評.COM  篠原章
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