新型コロナウイルスの国・地域別感染者数と死亡率(3月12日現在)

増加率および死亡率データ更新

3月12日13時現在のWikipedia「国・地域毎の2019年コロナウイルス感染症流行状況」などのデータを元に、感染者数の増加率(3月10日比)と各国各地域死亡率を計算した。

前回図表との作成上の変更点は、(1)快復者数のデータを除いたこと(2)増加率は3月10日比としたこと(3)日本の値については国内感染者数を表す「日本」と「クルーズ船(ダイヤモンドプリンセス号)」を分離したほか、末尾に両者の合計値を掲げたこと(4)前回の図表作成時の「合計値」は感染者数の上位20ヵ国の合計値を掲載したが、今回は全世界の値を掲載したことなどである。

(1)の除外の理由は、各国データの集計にあまり信頼が置けないことによる。集計を行っていない国もあり、集計を行っている国でもアップデートが遅れぎみの傾向があるので、今回は「除外適当」とした。(2)は、本サイトでは連日の更新ができないという能力的な理由による。(3)については、クルーズ船を含めるべきではないという声が依然として多いため、基本的にその声に対応しているが、合計値は治療の実績評価に必要だとの観点から参考値として末尾に掲載した。クルーズ船の感染者・死亡者・死亡率はほぼ確定値なので、日本全体の死亡率を引き下げる効果があることには注意を要する。(4)については、連日順位が変動し、感染者数が下位にある国が急に上位に上がってくるため、上位20ヵ国の集計値を載せるだけでは実態を著しにくくなっていることによる。

批評ドットコム作成資料

いうまでもなく3月10日にとはかなり様相が異なっている。増加率を見ると欧州(とくに北欧)と中東がきわだっている。死亡率は大きく変動していないが、3%台をつづける全世界死亡率がやはり基準になりそうだ。イタリアとイランが高いことが問題視されているが、日本の死亡率も徐々に上がってきているのが気になるところだ。欧州などでは死亡者が出ていなかった国も多かったが、感染の拡大に伴って今後は増加する可能性がある。韓国では死亡率がきわめて低いが、その背景についてはいずれ検証する必要があるだろう。

批評ドットコム作成資料

PCR検査をめぐる懸念—不足する治療インフラ

政策的なことについてひと言。

PCR検査については感染症医のあいだでも意見が分かれているようだ。ただ、感染症にフルで対応できる感染症病床は全国で1700床、結核病床3500床まで含めて計5200床しかない。コロナの入院期間はひと月はくだらない。となると「誰でも気軽に検査」とはいかないのではないか。しかも、重症者の治療に必要なICU病床も5500床しかない。

目下、感染症病床の増床、ハイケアユニット病床(HCU)や一般病床の転用も準備されていると思うが、「軽症は帰宅」だとしても不安は残る。軽症だったのが重症化する患者も少なからずいるだろうし、自分がコロナかどうか知りたいという気持ちもわかるが、「希望者全員PCR検査」はシステム障害を起こすのではないかという懸念は依然として残されている。

批評.COM  篠原章
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