月刊「正論」7月号:今月の「ますらおの歌」は「征露歌(ウラルの彼方)」

今月の月刊『正論』の連載「ますらおの歌(12)」では、旧制第一高等学校(現在の東大駒場の教養学部)から発信された「征露歌(ウラルの彼方)」を取り上げました。日露戦争直前に学生たちが自らつくった歌です。軍歌というより、学生たちが自分たち自身の意識を鼓舞するための「寮歌」といったほうが適切かもしれません。

当時の学生たちの「ロシアをやっつけろ!」という思いは、ロシアのウクライナ侵攻に対する私たちの思いと重なりますが、現在は往時と違って、たんに「やっつけろ!」だけでは済まない複雑な国際関係・国際情勢にあります。自衛力の強化に加えて、エネルギー安全保障と食糧安全保障をも含めた包括的で安定的な安全保障体制を構築することが強く求められています。

作詞した青木得三(当時はもちろん一高生)は、東京帝大法学部を卒業したのち大蔵省に入省、主税局長にまでのぼりつめたエリートですが、直言居士的な性格が政治家に疎まれ、最後は横浜税関長に左遷されました。青木は、その辞令を受け取った翌日に横浜税関長を辞し、大蔵省を退官しています。たった1日の在職で、横浜税関に顔も出さなかったようですが、横浜税関には歴代税関長の1人として写真が掲げられています。

ちなみに青木は、ぼくの大学・大学院時代の師匠の師匠ですので、ぼくは青木の孫弟子に当たります(本来なら呼び捨ては罷り成らんところですが)。

掲載誌である月刊「正論」7月号は6月1日発売です。

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