沖縄県の辺野古埋め立て承認取り消し処分と政府「代執行」行政訴訟(全文書き起こし)

平成27年11月17日(火)午後-内閣官房長官記者会見

国は、仲井眞弘多前知事による埋め立て承認を翁長雄志現知事が取り消した処分を違法として、県に代わって国が処分を撤回する「代執行」を求める行政訴訟を福岡高裁那覇支部に起こしました。

批評.COMでは、その日に行われた菅義偉官房長官の記者会見をテキスト化しました。書き起こし元は、政府インターネットテレビの「平成27年11月17日(火)午後-内閣官房長官記者会見」
(沖縄に関する部分は6:35くらいからです)
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg12709.html

質問者
共同通信のオオサワです。
沖縄の代執行に関する提訴についての関連なんですけれども、沖縄県としては安全保障関連法の成立の経緯なども絡めて、安倍政権の手法は強行だと訴えて、世論を引き付けていこうと考えている模様なんですけれども、安倍政権にとっても世論の後押しがなければ批判が高まることになると思いますが、どのように今後国民の理解を得ていこうと思いますか。

菅官房長官
ここはですね、もう20年前に沖縄県側からの要望、普天間飛行場が世界で一番危険であると。危険除去、閉鎖してほしい、その要望を踏まえた中でですね、時の総理大臣と、日本の米国大使の間で話し合いをしてですね、その閉鎖が決定をされ、そしてそれに基づいて普天間の移設先として辺野古が3年間かかって、まさにさまざまな地元の皆さまのご意見、そういうものを踏まえた中で、色々な方が努力をされて辺野古に決定したわけであります。

で、そこについても、地元の県知事、市長の同意を得たうえで閣議決定されたわけでありますから。

それから10数年経って、ようやく一昨年(2013年)の12月に、時の沖縄県の県知事から埋め立ての承認を頂きました。そういう意味で、沖縄県としての行政判断はその時点で当然下されているというふうに思っています。まさに法治国家でありますから、それに基づいて行政の継続性という中で今進めているところであります。

今日までの間に、当然これは埋め立てには漁民の皆さん、漁業組合のみなさんの同意が必要でした。そこも手続きに基づいて、時間をかけて、これも頂戴をしました。そしてまた辺野古のある地元のもっとも影響を受ける地域のみなさんからもですね、条件付きながら賛同も頂いているのが事実じゃないでしょうか。

しかし残念ながらこうした遅れによって、普天間飛行場の危険は除去されてない状況です。この飛行場の中のみっつの機能のうち、安倍政権になってから、空中給油機15機は岩国飛行場に全部移転をしました。さらに緊急発着地も九州に移転することがこれは決まってます。そういう中で今残っているのはオスプレイでありますけれども、とにかく危険除去のために或いは負担軽減のために政府として努力させて頂いて、今、埋め立て承認に基づいて工事をさせて頂いている。

そして、このことによって、沖縄に駐留する米軍が28,000人のうち、約三分の一の9,000人はグアムをはじめ国外に移転するということにそうしたことにも結果的にはなるわけですから、そうしたことを説明をさせて頂きながら、理解を求める中で進めて行きたいというふうに思います。

質問者
朝日新聞のスズキです。
今の関連なんですけれども、今日の代執行の中で、訴状の方では、だいぶ政府側の主張として、もし仮に辺野古移設が実現しない場合には、日米同盟に影響を与えると強調されてると思うのですが、辺野古への移設工事を進めるという政府の方針は、沖縄の民意よりも日米同盟を重視する、そのためには致し方ないという考えなんでしょうか。

菅官房長官
全く違います。
それは、冒頭申し上げましたけど、そもそもは普天間飛行場の危険除去、閉鎖、そこは当時の沖縄県知事から強い要請がありました。

そういう中で、当時の橋本総理大臣とモンデール駐日大使が話し合いをしてそこで決定をしたわけです。その時もですね、県内移設ということでありました。

そこで県内移設の場所を決めるまで3年かかったんです。まさに、その間には沖縄のみなさん、国の私たちの先輩のみなさん、大変なご努力をされて、辺野古に移設することについて当時の市長も県知事も同意した上で閣議決定したわけでございます。

それが、なかなか遅々として進まなかった、そういう中で翁長知事は自民党の県会議員時代に「早く進めるべきだ」ということを議会で演説をされています。それは「早く辺野古に県内移設をして、普天間の危険除去をなんとかすべきだ」ということの演説でありました。

しかし残念ながら、普天間飛行場はいまだに残っているわけであります。そういう意味で政府としては負担軽減、危険除去のために努力してますけれども、現在まだありますので、現職の知事としてこの現実をどうにかすることについて、私は翁長知事からその解決策を聞いたことは、実はありません。

知事が言っているのは「そもそもは原点が違う」という話は私よくさせて頂いてます。米軍が戦後駐留したことが問題だと。

ですからその、みなさんの沖縄県のご関係者を含めての努力というものが全く無視をされている状況であることも事実ではないでしょうか。

そういう中でやはり普天間飛行場の危険除去というのが原点だったと思っていますので、そうしたことについて今回の措置と言うのはやむを得ないというように思っています。

質問者
西日本新聞のオオタです。
改めてになりますけれども、今回、代執行司法判断を得た方がいいという一番の理由は何でしょうか。

菅官房長官
ですから、8月に1か月間、忌憚のない意見交換のために1か月間工事を中断しました。

そういう中でですね、翁長知事が1か月終わった後で会見をされてましたけれども、「そもそもは米軍が戦後駐留したことが悪い」という形で、今日まで沖縄県民のみなさんや或いは当時の市長や知事、そうした人たち、政府の皆さんが努力したことが全く無しの中で、そこに話が行ってしまいましたので、普天間の危険除去というものを行うためには、もう行政判断は下ってますから。そこは工事を進めさせて頂いて来ているということです。

それに対して埋め立て取り消し処分がありましたので、そこは法令に基づいて対応させて頂く、とそういうことに尽きます。

質問者
(西日本新聞オオタ)
すみません、関連です。さきほども長官は訴訟はやむを得ない措置だと仰いましたけれども、知事がこういう取消に踏み切らなければ、できれば政府としては代執行という手段は取りたくなかったということでしょうか。

菅官房長官
政府としては8月に工事を中断して話し合いをさせて頂きました。

しかしそこでですね、危険除去、普天間飛行場の危険除去するための、知事としての具体策と言うのは話し合う余地がなかったんですよね。

「そもそもは、戦後の米軍の駐留を認めていた政治が堕落している」とのことでありましたけれども、そこに来るまでの今から20年前までの歴史がなくなってしまいましたので、そういう中で政府としては一番大事なのは普天間飛行場の危険除去、閉鎖であります。いまだに小学校が、金網一枚で学校と基地があるわけですし、1万人を超える防音装置の必要な住宅が密集しているわけです。

今度辺野古に行きますと機能が三分の一になりますから、そして防音が必要な方もゼロになる予定でありますので、そうしたことや、また抑止力という事を考えたときにも、政府としては今回は取消処分を知事がしたわけですから、それは法的に基づいて行わさせて頂くということです。

質問者
共同通信のオオサワです。
沖縄県は翁長知事が埋め立て承認を取り消した処分の効力を国土交通大臣が停止したのは不服だとして、来月にもその決定を取り消すよう求める抗告訴訟を起こす方針を固めました。これで訴訟合戦になるという形になるのですが、受け止めをお願いいたします。

菅官房長官
いずれにせよ政府は関連法令に基づいて、自然環境や住民の生活環境に最大の配慮をしながて進めさせていただく、そういうことに変わりありません。

司会
以上、よろしいでしょうか。はい、ありがとうございました。

批評.COM  サイト管理人
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket