「業者との癒着」写真で浮上した玉城デニー知事の守護女神「徳森りま」をめぐる疑惑
昨日のFacebookに私は次のように書きこんだ。
玉城デニー知事の業者との会食問題。島袋大議員など県会野党議員(自民)が頑張ってるおかげで、地元紙も取り上げざるを得ない状況だ。
玉城知事がプライベートな飲み会と言っているのは理由がある。私設秘書的な役割を担っている徳森りまさんの参加する飲み会だからだ。フジロックへの出演をブッキングしたのもりまさんだ。全国遊説キャラバンも徳森さんの企画である。県庁が把握していない予定が多いのも、市民運動に関わりの深いりまさんが、知事公室に知らせないまま、県庁外での活動スケジュールを組んでいるからだ。
報道されている通り、契約先業者は山形の「子ども被災者支援基金」である。震災を機に山形で設立されたボランティア団体が、なぜ沖縄の万国津梁会議に関わるのかまるでわからないが、この業者とジョイントして今回の仕事を取った沖縄の団体・全国トークキャラバンの代表は徳森りまさんだ。つまり、補助金の還流先は玉城デニー知事の実質的な私設秘書が代表を務める団体ということになる。
玉城知事は、徳森さんの補助金獲得プロジェクトの成功祝賀会だからこそ参加したのであって、子ども被災者支援基金の懇親会などとは考えていない。この会合は、徳森さんが補助金を得たことのお祝いなのである。
私設秘書の徳森さんの会合だから、玉城知事はこれをプライベートな席と捉えているようだが、補助金分捕り合戦勝利の集いだということをすっかりお忘れのようだ。業者との癒着云々というレベルではない。無給で頑張ってくれている徳森さんに補助金というご褒美をあげることができたからこそ、めでたいのである。癒着ではなく玉城知事の公私混同、職権濫用、背任に近い重大な案件だ。こんなあからさまな利益供与を認めた県庁役人の責任も重大である。追及の手を緩めてはならない。
以下でこれを補足しておきたい。
昨年9月に当選した沖縄県の玉城デニー知事が、就任後最大の「試練」に直面している。
ことの発端は、とある宴会で知事と同席した県庁職員が、直後にSNSで発信した宴会の模様をとらえた写真である。この写真を「業者との癒着の証拠写真だ」として県議会自民党が目下厳しく追及している。「受託(委託)契約の前日に宴会で盛り上がるとは癒着も甚だしい」というのが自民党側の言い分である。
「業者」とは、玉城知事の諮問機関である「万国津梁(ばんこくしんりょう)会議」の支援業務(予算約2400万円)を受託した「子ども被災者支援基金」などを指す。一般社団法人が官公庁の業務を受託すること自体珍しくないが、沖縄県の委託事業を山形県寒河江市の一般社団法人(もともとは震災に際して福島の子どもたちを救済しようと起ち上げられたボランティア団体)が中心になって受託するのは、きわめて大きな違和感がある。
しかも、この「子ども被災者支援基金」代表である鈴木理恵氏は、玉城知事の基地政策の決定に大きな影響力を有する提言機関であるNDこと新外交イニシアティブ(猿田佐世代表・東京都新宿区)の理事だ。NDには、評議員として元外務省の栁澤協二、ジョージワシントン大学のマイク・モチヅキ、今年4月に衆院議員(沖縄三区)補選で当選したジャーナリストの屋良朝博、法政大学の山口二郎、ジャーナリストの鳥越俊太郎、東京大学の藤原帰一の各氏が名を連ねるが、理事会は猿田佐世弁護士の夫である猿田暁生氏(隈研吾設計事務所)や弁護士仲間など関係者・知人だけで構成されている。鈴木理恵氏は猿田氏の長年の友人と言われているが、驚いたことに、玉城知事の「私設秘書」といわれる市民運動家・徳森りま氏もND創設時からの理事である。この徳森氏が先の宴席の写真にも写り込んでいる。
実はこのNDも沖縄県の受託業者で、先頃話題になった玉城知事の「全国キャラバン」(辺野古埋め立て反対を訴えるための全国キャンペーン)の事業主体(予算約1000万円)である。おまけに代表の猿田弁護士は沖縄県のワシントン事務所の展開するロビー活動とも繋がりが深い。現在のロビイストは現地企業だが、事務所設置当時は猿田氏が積極的に助言し、運営にも関わっていたといわれている。今回判明した案件はワシントンにおけるロビー活動とは無関係だが、猿田佐世氏を中心とするND系知事支援グループが、「万国津梁会議」受託事業も含めて今年度予算から最大約3400万円を超える事業費を受け取ることは紛れもない事実である。どう言い訳しても「利益(利権)配分」が明らかな一件だ。
これらの事業で先頭に立って動いているのは徳森りま氏である。知事側近の市民運動家が、総額3400万円超の県の受託事業に深く関わっているのはどうみても適切ではない。しかも、競争入札という形式を取りながら他社は辞退して、実質的に随意契約となった委託案件だから、「他社辞退」に疑いの視線が向けられてもやむをえない。
徳森氏は、元山仁士郎氏と共に、知事候補にいちばん遠いところにいた玉城デニー氏を知事に擁立する動きの中心にいた人物である。つまり、徳森氏がいなければ玉城氏は知事になっていなかったということだ。
徳森氏の曾祖父はペルー移民、父の代にいったん沖縄に戻ったが、小学校低学年まで南米で過ごし、その後大学・大学院まで沖縄で教育を受けている。卒業後、南米での交流事業に2年間参加し、帰国してからは世界のウチナーンチュ大会や島ぐるみ会議の事務局などで働いてきた。「多様性の尊重」や「沖縄の自己決定権の尊重」という立場から辺野古埋め立てに反対する。玉城知事の信頼は絶大で、徳森氏が要請する会合(飲み会も含む)やイベントには最優先で参加するという。知事公室が把握していない外部での活動の大半は徳森氏によるブッキングだといわれている。フジロックフェスティバルもその1つだ。徳森氏の差配に知事公室の業務が追いついていないという。
知事は今回の宴会に際して「プライベートな性格のもの」と強調し、県当局も「法令違反や規程違反には当たらない」としているが、知事側近の関わる団体が県予算の支出先であるという現状についてはしっかりした説明責任を果たす必要がある。徳森氏との特別な関係を考えるときわめて不適切だと思う(誤解なきよう補足すると、これがたとえ元山氏であっても不適切であることに変わりない)。知事の言葉を借りれば、「プライベートな性格な付き合いに公金を分配している」ことになる。
徳森氏はきわめて有能な市民運動家である。玉城知事が依存したくなる気持ちもよくわかる。が、今回の一連の委託事業は、たとえ違法性がないとしても財政倫理的にはきわめて大きな疑惑を呼ぶもので、倫理に基づいて適切に対処しなければ玉城知事の命取りとなる。徳森氏ばかりではなく、猿田氏や元山氏との関係についてもしかりだ。玉城氏の脇の甘さが「辺野古反対運動」に水を差すこともありうる。今こそ襟を正すべきだろう。