泡沫候補業界のニューウェイブ!後藤輝樹

「泡沫候補業界」(失礼な表現ですがお許しを。他に表現が見あたらないので。英語でフリンジ・キャンディデイトという手もアリか。“なんちゃって候補”という表現も…)では後藤輝樹さんという方が最強だということを今日になって知りました。マック赤坂さんや又吉イエスさんがトップクラスだと信じていた自分の不徳を恥じています。

後藤さんは、昨日開票された千代田区長選挙で202票を獲得していますが(がんばってるな〜)、港区長選挙、目黒区長選挙、神奈川県会議員など、関東各地でこれまで少なくとも4回は立候補しています。千代田区長選挙では、内田裕也さんを見倣ったのかどうか、全篇英語のポスターを掲示していたようです。「GOT OTER UKI」という文字が見える写真がそのポスター。「GOTO TERUYUKI」というローマ字名に細工したんですね。「GOTO TERUYUKI」という候補者名表記ですらよみにくいのですから、「GOT OTER UKI」では、見る者にはそれが候補者名なのかどうかもわかりません。GOTとUKという文字が見えるので、一瞬ロックっぽく見えてきます。ご本人は意味不明ポスターによる注目度アップが「狙い目だった」とおっしゃっています。

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年齢は30歳。経歴などわかりませんが、ホストっぽいところがちょっと気に入っています。夜の六本木や歌舞伎町にいそうなタイプですね。政策はさすが新世代。各分野にわたってなかなか詳細な政策が並べられていますが、政策相互のリンケージにはあまりご関心がないようです。でも、興味深い政策は山ほどあります。以下その抜粋。

・中央集権的道州制であれば導入する(廃県置州)(47都道府県⇒7道州)
・日本を7つの独立国に分離させ、日本連合(JU)を作る
・史上最大の国難の今こそ、挙国一致の強い中央集権体制にする
・日本を永世中立国家にする
・売国奴制裁法案を作る
・国際行事には日本伝統の民族衣装を着用する

この方は国家権力(中央集権制)の強化に関心があるようですが、一方で日本を7つの独立国からなる連邦国家にしたいようです。矛盾していますが、こういう不整合はありがちなことです。追及してはいけません。辞任された国交省政務官・徳田毅さんの政策にも不整合はありますからね。なんたって彼は「TPP大反対」なのに「日米安保強化」ですから。これは両立しない政策の典型です。売国奴法案は、いかにもネトウヨっぽい発想ですが、彼は天皇制の情熱的な支持者ですから一環はしています。

・私は皇室を崇拝します
・天皇陛下が国家元首であると憲法に明記する
・男系護持(女系天皇に反対、男系女性天皇には賛成)
・側室を復活させる
・天皇制という表現を禁止して、皇室という表現に統一する
・皇紀を日本の暦の標準にする(日本2700年の歴史)
・一万円札の表紙を天皇陛下にする
・日本の国章を皇室の菊花紋章に統一する
・尊王倒幕(倒、既成政党)で行く

少子化対策や青少年教育についても一家言あるようです。

・国営出会い斡旋所を作って、出会いのミスマッチを改善させる
・12歳もしくは15歳で成人または準成人にする
・未成年者のセックスを禁止する
・一夫多妻制にする
・人口を2億人にする
・出産を義務化する
・正しいチンポコ(包茎)教育を義務付ける
・ガンダム等に搭乗する事が出来る少年パイロットを育てる
・小中高校の部活動に消防部を作る
・勉強部を発足させる

国営出会い斡旋所はなかなかの発想。12歳で成人にするのにセックスは禁止というのは矛盾していますが、「ガンダム等に搭乗する事が出来る少年パイロットを育てる」という政策に免じて、あえてその点を追及しません。

後藤さんの外交政策もまたナカナカです。

・地球連邦政府及び地球連邦軍を作る
・地球連邦(世界連邦)を樹立して、初代大統領になる
・核兵器世界同時全廃条約を作る
・核兵器及び原発の世界同時全廃条約を提唱する
・世界の軍事兵器等を圧倒的に縮小させる
・世界共通の絶対順守の法律と刑罰を作る
・世界共通通貨を作る
・新たな戦争のルールを決める
・将来的に地球防衛軍を創設する
・世界のあらゆる人種差別、民族差別を根絶する
・常任理事国を皆が大好きな民主主義で数年に一度、選挙で決める
・国連に代わる新しい国連のような組織を創設する

これに近い政策を非泡沫候補や政党も掲げていますから、現在では思ったほど突飛とはいえません。それにしても、いちいち取り上げていたら切りが無いほど、 彼の政策はあらゆる分野に及んでいます。ほんとにこれだけいろいろ書き込んでいる人も珍しい。メモ書きに近いものも多いのですが、それはそれでいいでしょう。

けっしておちょくるつもりで後藤さんを取り上げたのではありません。ホスト風の若い世代のなかに、こうした政治的ディレッタントが生まれてくるというのは、やはり興味深いことだと思うのです。今までにない泡沫候補なのか、それともやっぱり従来型なのか、まだ判定はつきませんが、スタイルだけならけっこうニューウェイブです。

批評.COM  篠原章
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