ヒジャイさんの雑誌『かみつく』が創刊された

沖縄の人気ブロガー、ヒジャイ(又吉康隆)さんが不定期刊行の雑誌『かみつく』の第1号を出版した。現代沖縄で最もリベラルな“思想家”であり、真の意味での自由人である。創刊号である本号の正式タイトルは「元県知事・大田昌秀にかみつく〜ブログの世界が沖縄の真実を明らかにする」。

かみつく

『かみつく』ヒジャイ(又吉康隆)さん

  東村高江のヘリバッド建設反対運動の先頭に立つ作家の目取真俊さんとは対極にある考え方の持ち主だが、沖縄の問題へのアプローチではヒジャイさんほどシン プルで筋の通った主張を展開できる人はいない。彼を「右翼」と同一視する人もいるが、民主主義とは何かを徹底的に考え抜いた希有な人物だ。ヒジャイさん は、この秋、『沖縄に内なる民主主義はあるか』という名著も出版している。琉球新報やボーダーインクに出版を拒否されたあげく(それも自費出版を拒絶され た)、自ら出版社を起ち上げて自著を刊行した行動の人でもある。

  深夜のコンビニで働きながら小説を書き、コザのパルミラ通りで尺八も吹く還暦を過ぎた自由人が、今度は雑誌メディアにまで進出した。政治家(元県知事)・ 大田昌秀さんがいかに沖縄をダメにしたかを徹底的に批判している。同じく人気ブロガーの狼魔人(江崎)さん、光と影さんも寄稿している。

  ぼくはヒジャイさんとすべての考え方を共有しているわけではないが、何ものにも拘束されない自由な言論とは何か、民主主義とは何かを、いつも彼から教わっ ている。戦後沖縄が生んだ最高のエンターテイナー・照屋林助が生きていたら、ヒジャイさんと同じことをおもしろおかしく語っていたにちがいない。

 分裂の危機にある沖縄。だが、ヒジャイさんの言論や目取真俊さんの言論が、同じ土俵で互角の闘いを見せてくれる自由がある限り、その未来は捨てたものではない。

批評.COM  篠原章
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